アパートに空室が多い理由とは?原因分析と効果的な対策・成功事例を解説
2025.06.08
アパート経営において、空室問題は早急に解決したい大きな課題です。空室を改善するにあたっては、まずは空室が多い理由や原因を特定することが第一歩です。
本記事では、空室が多くなる主な理由を解説するとともに、効果的な改善策や実際の成功事例も紹介します。
なお、空室対策については以下の記事もご参照ください。
■参考記事
【保存版】空室対策のすごい技20選!管理会社が徹底する空室対策
不動産投資の大敵・空室をなくす! 空室改善の方法をわかりやすく解説
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新築アパートでも空室だらけなのはなぜ? 真に有効な空室対策を紹介
▼この記事の内容
●アパートが空室だらけになる理由は、立地条件がよくない、集客のための宣伝が不足している、家賃設定が相場より高い、競合との差別化が不足している、管理が行き届いていない、地域の需要とターゲットが一致していないなどが考えられる。
●アパートの空室の原因を特定するための方法としては、過去の退去理由を分析する、内見者の反応を分析する、不動産仲介会社の意見を聞く、競合物件と比較するなどがある。
アパートが空室だらけになる理由

アパート経営における空室対策は、空室が発生する原因を特定することが第一歩といえます。まずはアパートが空室だらけになってしまう代表的な理由を紹介します。
なお、空室の原因を突き止めるためには、【リロの不動産】が考案した『4つの空室対策』から考えるのがおすすめです。
1.入居者募集対応
2.仲介対応
3.管理対応(入居者管理/建物管理)
4.設備・工事対応
『4つの空室対策』に関する詳細は、以下の記事をご参照ください。
■参考記事
空室の原因を解決する『4つの空室対策』とは?14種類の手法を徹底解説!
アパートの空室が多い理由①立地条件がよくない

空室が多くなる理由の1つ目は、立地条件がよくないことです。アパートの立地条件は、空室率に直接的な影響を与える非常に重要な要素です。
例えば、最寄り駅やバス停から遠い物件は、通勤・通学がある入居希望者にとっては不便なため、どうしても敬遠される傾向にあります。特に都市部ではこの傾向が顕著であり、駅から徒歩圏内にある物件に比べると、交通アクセスの悪いアパートは競争力が低下します。
周辺環境の利便性も重要な要素です。近くにスーパー・コンビニ・医療機関・教育機関があったほうが利便性が高く、これらの周辺環境が入居の決め手になるケースも珍しくありません。
人口減少や高齢化が進んでいる地域では、賃貸需要そのものが減少する傾向にあるため、空室が長期化するリスクが高まります。
立地条件についてはオーナー様の工夫で改善できないため、条件に応じて家賃の設定を見直したり、設備の充実を図ったりするなど、物件の付加価値を高める工夫が必要です。
アパートの空室が多い理由②集客のための宣伝が不足している
集客のための宣伝が不足していて、空室が続いているケースもあります。
空室情報が入居希望者に届いていなければ、オーナー様の物件は選択肢に入りません。空室情報が届いていたとしても、そのアパートの魅力が十分に伝わらなければ、申し込みには繋がらないでしょう。
具体的には、住宅情報サイト(SUUMO・HOME‘S・at-home)に十分な情報が掲載されていない、物件写真のクオリティが低い、間取り図がわかりづらいなどのケースが挙げられます。
意外と盲点なのが不動産仲介会社との連携不足です。不動産仲介会社は多くの物件を扱っているため、何もせずにいると競合物件に埋もれがちです。都市部のように、競合物件が多ければ多いほどこの傾向は顕著になります。
空室が出た場合や何らかのリフォームを実施した際など、できるかぎり不動産仲介会社に足を運ぶなどして、積極的に紹介してもらえるよう働きかける工夫をしてみましょう。
アパートの空室が多い理由③管理が行き届いていない
アパートの管理が行き届いていない場合も、空室が多くなる傾向にあります。管理状態の劣化が入居者様の退去理由になりえるうえ、入居希望者の印象も大きく損なわれる可能性があるためです。
共用部分の清掃が行き届いていない、あちこち照明が切れている、郵便受けが溢れているといった状況では、単純に見た目が悪いだけでなく、セキュリティ面の不安を感じる方もいるでしょう。
建物の外壁が劣化していたり、設備の老朽化が進んでいたりしているにもかかわらず、適切な修繕が行われていない場合も問題です。見た目の問題だけに留まらず、安全面に不安を感じても不思議はありません。
水回りの設備が古い、エアコンや給湯器の調子が悪いなどの問題が放置されていると利便性が低下するため、既存入居者様の退去を誘発してしまいます。
アパート管理で注意すべき点はたくさんありますが、そのどれもが物件の印象や魅力に大きく影響することを理解しておく必要があります。
アパートの空室が多い理由④競合との差別化が不足している

競争が激しい賃貸市場では、競合物件との差別化ができていないアパートはなかなか入居希望者に選ばれません。
設備やデザインが平凡で目立った特長がない物件は、ほかの物件と比較された際に魅力に乏しいため、空室が長期化する可能性が高くなります。また、築年数が経過している物件は、最新設備を備えた新築物件と比べるとどうしても見劣りするため、リフォームや設備投資などを行い付加価値を高める必要があるでしょう。
リフォームと聞くと高額な設備投資を想像しがちですが、工夫次第で少ないコストで物件の魅力を高める方法はいろいろあります。本記事の後半で具体的な事例を紹介しているので、そちらも参考にしてください。
アパートの空室が多い理由⑤地域の賃貸需要とターゲットが一致していない
周辺環境の違いから、地域によって賃貸需要の傾向は異なります。その地域の賃貸需要とアパートのターゲットが一致していないと、空室が多くなるリスクが高まります。
例えば、単身者向けの需要が高い地域にファミリー向けの3LDK物件を提供したり、ファミリー層が多い地域でワンルーム物件を提供したりといったケースが挙げられます。ニーズによって物件の用途や予算がまったく異なるため、このようなミスマッチがあると空室を埋めるのは困難です。
同時に、地域の環境変化にも注意が必要です。学校や企業の移転、新しい商業施設の開業などによって、地域性やターゲット層の属性が大きく変化する場合があるからです。
ターゲット層のズレを防ぐためには、定期的に地域の賃貸市場を分析し、需要に合った物件づくりを心がけることが重要です。必要に応じて、間取り変更や設備の見直しを行い、ターゲット層のニーズに適応することで、空室リスクを軽減できます。
アパートの空室が多い理由⑥家賃設定が相場より高い
月々の家賃は入居希望者が物件を選ぶ際の大きな判断基準の一つです。そのため、周辺の相場よりも高い家賃を設定している場合は、入居希望者がほかの物件に流れてしまう可能性が高くなります。
家賃に見合う付加価値がある場合はともかく、近隣に似たような条件の物件がある場合は、わずかな家賃差が入居率に大きな影響を与える可能性があります。
適切な家賃設定を行うためには、周辺地域の市場調査が不可欠です。同じ地域・同じ間取り・築年数の近い物件情報を調べてみることで、自分のアパートの相場感が見えてきます。住宅情報サイト(SUUMO・HOME‘S・at-home)を閲覧するほか、その地域の不動産仲介会社を実際に訪ねて、事情に詳しい担当者に家賃設定の相談をしてみるのもひとつの方法です。
また、空室が長期間続いている場合は、一定期間の家賃を免除するフリーレントを設置する、敷金・礼金の割引を行うなどの特典をつける方法も有効です。市場の状況を踏まえながら、適切な家賃設定を行うことも、空室対策の重要なポイントといえます。
アパートの空室の原因を特定するための方法
アパートの空室を減らすためには、まず原因を正確に把握することが重要です。具体的な問題を特定しないまま闇雲に対策を講じても、目に見える効果は期待できないためです。
ここからは、空室の原因を特定する4つの方法を解説します。
過去の退去理由を分析する
1つ目は過去の退去者の退去理由を分析する方法です。退去理由にはさまざまなものもありますが、その理由を分析することで物件の魅力を向上させたり、入居者様の満足度を高めたりできる重要な情報にたどり着く可能性があるためです。
家族の転勤や、家族が増えて手狭になったなどの個人的な理由は致し方ありませんが、一方で以下のような理由は賃貸経営や管理によって改善できる余地があります。
●周辺の家賃相場に比べて割高
●近隣住民の騒音トラブル
●設備の老朽化による機能不全や安全性の低下
●管理の不満
すべての退去者から正確な情報を得るのはなかなか難しいかもしれませんが、退去時のアンケートから貴重な意見を得られる可能性があります。
退去理由の分析をもとに、次の入居者様の確保につながる対策が打てるようになるでしょう。
内見者の反応を分析する

実際に物件を見た内見者の反応も重要な情報源です。内見者の率直な感想を把握し、入居希望者がどのような点を重視しているのか、どうすればより魅力的な物件になるのかなどの重要なヒントが得られます。
「スーパーが遠い」「日当たりが悪い」など、オーナー様の努力ではどうにもできない意見がある一方で、以下のようなものは改善の余地があります。
●収納が少ない
●設備が古い
●部屋が臭う
●水回りが古く清潔感に欠ける
●共用部分が汚れている
上記はあくまで一例ですが、実際の内見でもよく聞かれるポイントです。さらに、複数の内見者が同じ問題を指摘している場合は、改善の優先順位が高いと考えられます。
このような内見者の意見を「物件の魅力を高める改善のヒント」と捉えて優先的に改善することで、入居希望者のニーズに合った物件に近づいていくでしょう。
内見時には、建物の外観や共用部分の清掃をしっかり行っておくなど、内見者の第一印象を良くする工夫も大切です。
不動産仲介会社の意見を聞く
不動産仲介会社の意見を聞くのもおすすめです。不動産仲介会社は日々多くの入居希望者と接しており、アパート経営を行ううえで非常に有益な情報が集まっているためです。
不動産仲介会社の担当者は、日常的に多くの入居希望者の声を聞いているため、人気物件・不人気物件の要因や、その地域で重視されている設備やポイントなどを熟知しています。担当者から得た情報は入居希望者のニーズそのものであり、物件を改善するヒントが多く含まれています。
また、入居希望者に適切な物件を提案できるよう、日頃から可能なかぎり物件を確認し、資料を作成しているため、その地域の物件の内容にも精通しています。
このような経験や知識がある担当者に対して、自分のアパートの問題点や選ばれにくい理由を聞いてみるのは非常に有効といえるでしょう。プロの意見を取り入れることで、効率的かつ効果的な空室対策を実施できる可能性が高まります。
競合物件と比較する

自分のアパートと競合物件を比較してみることで、自分の物件の強みや弱みを客観的に把握できます。
間取り・設備・築年数・駅や商業施設までの距離、それらの条件に対する家賃設定などを比較することで、思わぬ発見が得られる場合があります。
競合物件のほうが付加価値が高いのに自分の物件よりも家賃が安い場合は、現在設定している家賃を見直したり、設備を拡充して付加価値を高めたりする努力が求められます。
加えて、競合物件の募集方法や広告も注目すべきポイントです。住宅情報サイト(SUUMO・HOME‘S・at-home)への掲載と並行して、物件の共用部に入居者募集の貼り紙をしておくだけでも、問い合わせがくる可能性が高まります。
物件資料の写真の枚数や撮影箇所、撮影角度などを工夫することで、入居希望者の印象が大きく変わるケースも少なくありません。特に空室率の低い物件は、参考にできる点が多いでしょう。
アパートの空室率改善に成功した事例の紹介
ここからは、実際にアパートの空室対策に成功した事例を4つ紹介します。さまざまな取り組みがあるため、ぜひ参考にしてみてください。
学生エリアならではのリフォームで3室の空室を満室に改善!

学生エリアの特性やニーズに合わせたリフォームで、3室の空室を埋めた事例があります。元々問題がある物件ではなかった一方で、これといった特長もなく、決め手に欠ける物件でした。
具体的なリフォーム箇所は以下のとおりです。
●元々1室にあった浴室とトイレを独立
●トイレに洗浄便座を新設
●床材やクロスを若者向けのデザインに変更
●室内物干しを設置
●TVドアホンを導入
これらのリフォームには実際に多い若者の声が反映されています。特に、室内物干しとTVドアホンは女性入居者様の安心感を高めるために実施したリフォームです。
このリフォームがターゲット層のニーズにうまく合致し、当時空室だった3室すべてに申し込みが入り、無事満室を達成しています。
参考事例:学生エリアならではのリフォームで3室の空室を満室に改善!
稼働率50%だった物件を、賃料減額することなく満室に改善!

稼働率50%だった物件を、賃料を下げずに満室とした成功事例もあります。
この物件は利回りを重視して中古で購入したという背景があり、できるだけ賃料の減額は避けたいという意向がありました。
具体的には、共用部分・外観・室内の清掃を徹底することから始め、内見時の印象を改善したほか、なるべく少ないコストで補修や修繕を実施しました。また、敷金や鍵の交換費用など、入居希望者の初期費用の負担をなるべく抑える工夫もしました。
このような改善を行った結果、仲介業者からの紹介数や入居希望者からの申し込みの増加につながり、短期間で満室を実現できました。
参考事例:稼働率50%だった物件を、賃料減額することなく満室に改善!
即入居になった費用対効果の高いアクセントクロス!

アクセントクロスを導入したことで、即入居につながった事例もあります。アクセントクロスとは、室内の壁紙を一部をあえて異なる色や柄にすることで、部屋に個性や高級感を持たせるリフォーム手法です。
アクセントクロスは見た目のインパクトがあるだけでなく、貼り替える壁紙の面積が少なく施工コストを抑えられるため、費用対効果の高さも大きな魅力です。
築年数が経過している物件でしたが、アクセントクロスによって部屋の印象が大きく変わったことで、実際の内見でも「ここいいね!」という声が聞かれるようになりました。
「付加価値をつけたいけど、あまり費用はかけられない」という場合にもおすすめしたいリフォーム手法です。
長期空室からの脱却で満室経営!ビッグデータ活用で適正賃料を算出!

ビッグデータを活用して、長期空室からの脱却と満室経営を実現した事例もあります。
この事例で実際に行ったのは家賃の改定だけです。空室対策において賃料の減額は確かに効果的ですが、周辺相場や利益率などを考慮する必要があるため、家賃調整には「勘に頼る」側面がありました。
【リロの賃貸】ではビッグデータにもとづいた市場調査を行うため、高い精度で「決まる家賃の上限」を導き出せるため、効率的な家賃設定が可能です。
結果的に、この事例でも近隣と比較しても見劣りせず、適切な家賃設定ができたことで満室経営を実現できました。
参考事例:長期空室からの脱却で満室経営!ビッグデータ活用で適正賃料を算出!
ここで紹介しきれない事例については、こちらで紹介しています。ぜひ参照してください。
■アパートの空室改善事例
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家賃を上げて入居促進!入居者募集力でもネット募集の強さが決め手
1年以上の空室物件を、適切な入居者募集で管理1ヶ月で成約へ!
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まとめ

アパートの空室を改善するには、まず空室の原因を正確に特定することが重要です。競合物件との差別化ができていない、老朽化した設備が放置されている、家賃が適正でないなど、空室の要因は物件によってさまざまだからです。
原因に合った適切な対策を講じることができれば、空室を解消するのはそこまで難しくはありません。
賃貸管理の質の向上や、入居者様のニーズに合わせた見た目・設備の改善、市場に応じた柔軟な家賃設定、効果的な宣伝広告など、多くの費用をかけずとも効果的な空室対策は十分に可能です。
【リロの不動産】では、豊富な実績とノウハウを活かし、オーナー様の満室経営をサポートしています。空室にお悩みの方はぜひご相談ください。
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この記事を書いた人
秋山領祐(編集長)
秋山領祐(編集長)
【生年月日】昭和55年10月28日。
【出身地】長野県上田市。
【趣味】子供を見守ること。料理。キャンプ。神社仏閣。
【担当・経験】
デジタルマーケティングとリブランディングを担当。
分譲地開発のPMや家業の土地活用などの経験を持つ。
リノベした自宅の縁の下に子ども達の夢が描かれている。