投資用マンションの基本! 保有戸数別の収益と不動産投資の成功ポイント
2023.06.16「投資用マンション」と聞いても具体的なイメージがわかず、普通のマンションとの違いがわからない方も多いのではないでしょうか。また、マンション投資には区分マンション投資と一棟マンション投資がありますが、その違いを詳しく知りたいという方もおられると思います。
本記事では、投資用マンションの定義を解説するとともに、区分マンション投資と一棟マンション投資の違い、それぞれのメリットおよびデメリットに加え、成功するためのポイントについてもお伝えします。
目次
投資用マンションとは? 居住用マンションとはどう違うのか
投資用マンションと居住用マンションでは、マンション自体の建築方法は同じです。異なるのは、そのマンションを第三者に貸し出して家賃収入を得るのか、自分が住むのかという目的にあります。
また、投資用マンションにオーナー様本人が住むこともできます。
間取りの違い
居住用マンションは一般的な分譲マンションであり、実際にそこに住むために購入するため、間取りにはさまざまなタイプがあります。一般的には単身用よりもファミリー層向けの3LDKや4LDKなど、部屋数が多い間取りが多く見られる点が特徴です。
投資用マンションは単身者に貸し出すことを目的とするものが多く、間取りはワンルームや1Kが多くなっています。もちろんファミリー層向けの投資用マンションもありますが、どちらかというとファミリー層よりも単身者層のほうが、賃貸需要が多いことも要因となっています。
また、立地も居住用マンションの場合はファミリー層をターゲットにしていることから、「公園に近い」「学校に近い」ものが多いのに比べ、投資用マンションは単身者をターゲッしている点から、「駅に近い」「都心部から通勤圏内にある」など交通の利便性をより重視している点が特徴です。
ローン種別と融資目的の違い
居住用のマンション購入、そして投資用マンションの購入の際にはいずれも金融機関から融資を受ける、つまりローンを利用する方がほとんどです。そして、一般的に住宅を購入する際に利用する「住宅ローン」は、居住用のマンション購入の目的に限定されます。
では、投資用マンションを購入する場合はどのようなローンを利用することになるのでしょうか。投資用マンション購入の際に利用できるのは「不動産投資ローン」です。「アパートローン」と呼ばれることもあります。融資の目的は「不動産投資」となり、賃貸経営で収益を得るビジネスを行う資金を調達します。
「住宅ローン」と「不動産投資ローン」では融資目的が異なることから、以下のような違いがあります。
金利の違い
住宅ローンよりも不動産投資ローンの金利が高くなるのが一般的です。不動産投資の方が貸し倒れリスクが高いため、金利に違いが出てきます。
住宅ローンの金利は低く、現在では年利0.5%~2.0%程度の1%前後に設定されていますが、不動産投資ローン(アパートローン)では住宅ローンよりも金利が高く、年利1.5%~4.5%程度の2~3%台に設定されています。
住宅ローンと融資金額が大きい不動産投資ローンでは返済金額も異なります。返済の原資である家賃収入は、入居者様の入れ替え時期や賃料相場の変動による下落など、常に一定の賃料が永続的に入るものとは限りません。物件により賃貸需要を取り込める収益性も変わるため、安定した収益を永く見込める物件では不動産投資ローンの金利が低くなる傾向もあります。
審査項目の違い
住宅ローンは主に本人の属性から判断される返済能力と購入するマンションの担保価値により審査が行われるが、不動産投資ローンは本人の返済能力のほか、賃貸事業の収益性や継続性も合わせて審査を行います。
新築と中古の場合で考えてみましょう。新築の方が融資は好条件になる可能性が高い反面、取得費用の総額が多くなる傾向にあります。中古であれば取得費用が新築より低いため高利回りが期待できますが、建物やお部屋が近隣エリアの競合物件より明らかに劣る場合、空室リスクが懸念されます。
融資金額の違い
住宅ローンの場合では1億円を上限にしている金融機関が一般的です。不動産投資ローンだとさらに高額の融資が可能です。後述する「区分マンション」と「一棟マンション」では取得価格も大きく変わるため、高額の融資が検討可能になります。
投資用マンションの種類
投資用マンションの種類は大きく分けて「区分マンション」と「一棟マンション」があります。この章ではそれぞれの特徴について解説します。
区分マンション
区分マンション投資はマンションの部屋の1室を購入して、賃貸物件として貸し出すことで家賃収入を得る投資方法です。一棟マンション全体を購入するのではなく、区分された部屋単位で購入する「区分所有」という特性から区分マンション投資といわれています。
区分マンションは単身者層をターゲットに購入するケースが多く、間取りはワンルームもしくは1Kが主流です。そのため、区分マンション投資のことをワンルームマンション投資ということもあります。もちろん、単身者と言っても年齢によっては部屋数がもう少し多い物件が好まれることもあり、1DKや1LDKなども対象です。
また、ファミリーをターゲットにする場合は部屋数が多いほうが好まれるため、2LDKや3LDKの部屋を購入し賃貸に出す投資方法も見られます。
区分マンションは比較的少ない資金で購入できるため、マンション投資の初心者に向いています。最初は区分マンション1室から始め、徐々に部屋数を増やして事業規模を拡大する考え方もあります。
一棟マンション
マンションを一棟丸ごと購入し、投資用マンションとして保有して、入居者様を募集して家賃収入を得る投資方法を一棟マンション投資といいます。一棟丸ごと購入することから一棟マンション投資のことを「一棟もの」ということもあります。
購入する一棟マンションには、新築もあれば中古もあります。
一棟マンション投資はそのマンションの規模にもよりますが、部屋数が多く空室が少なければそれだけ多くの家賃収入が得られます。ただ、維持するための費用(修繕費や賃貸管理会社に支払う委託料)なども多く発生するため、ある程度の賃貸事業経験のある方に向いています。
一棟マンションを購入するとなると、かなり高額な資金が必要です。自己資金ももちろんですが、金融機関から高額な融資を受けられる方でないと一棟マンション投資は難しいでしょう。そのためにはこれまでの賃貸経営の実績などを積み重ね、金融機関から返済能力があると認められる必要があります。
また、「土地を所有している」場合は、マンションを建てる。という選択肢もあります。
保有されている土地に賃貸需要があるならば、1棟マンションや1棟アパートを建築する選択肢もあります。
区分マンション投資のメリット・デメリット
区分マンション投資を行うには、区分マンション投資におけるメリット、デメリットを理解しておく必要があります。この章では、区分マンション投資のメリット、デメリットについて解説します。
区分マンション投資のメリット
区分マンション投資が持つ一番のメリットは「比較的少ない自己資金で始められる」ことです。一棟マンションを購入するには多額の資金が必要ですが、区分マンションであれば築年数によっては1,000万円程度で購入できる物件もありますので、自己資金が100万円~200万円程度でも始められます。
また、自己資金によっては借り入れる金額も少額になることから、金融機関からの融資が比較的下りやすい点もメリットです。
区分マンションだと、管理対象は所有している一部屋単位になるため、管理が容易な点もメリットです。副業として区分マンション投資を考えているなら、できるだけ管理の手間が省けるほうがありがたいでしょう。さらに賃貸管理会社に管理をまかせることで手間をもっと少なくできます。
所有する区分マンションの立地条件によっては、売却しようと考えた際にもすぐに買い手が見つかる可能性があります。不動産投資を行ううえで考えなければならない流動性リスクが低い点もメリットといえるでしょう。
このような点からも、区分マンション投資は自己資金があまりなく、不動産投資を始めたばかりの初心者におすすめの投資方法です。
区分マンション投資のデメリット
区分マンション投資のデメリットとして、「利回りが低い」ことが挙げられます。収益物件サイトの健美家が調べた「収益物件市場動向年間レポート 2022年」によると、区分マンションの利回りは7.41%となっており、一棟マンションの利回りである7.84%を下回っています。
※ 出典:健美家 収益物件 市場動向 年間レポート 2022年
また、空室リスクが高い点もデメリットです。所有している区分マンションが1室のみの場合、入居者様が入らないと家賃収入は一切入らないことになります。区分マンション投資の空室リスクを回避するためには、ターゲット層が好む立地条件にあるマンションを選ぶことが重要なポイントになります。
区分マンション投資で保有しているのはあくまでも「マンション全体の中の1室」です。マンション全体の建物管理は管理組合や別の管理会社に託されているため、共用部分などの設備を新しいものに変えたいと思っても、管理組合の決定に従う必要があります。自分が思っているような自由な管理ができない点も、区分マンション投資のデメリットといえるでしょう。
一棟マンション投資のメリット・デメリット
では、一棟マンション投資にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。この章では一棟マンション投資のメリットや投資を行う際に気をつけておきたいデメリットについて解説します。
一棟マンション投資のメリット
一棟マンション投資のメリットは、なんといっても長期で安定した家賃収入が得られることです。マンションの規模にもよりますが、部屋数が多く、空室率が低ければそれだけ多くの家賃収入が得られることや、仮に退居者が出てもほかの居室の入居者様からの家賃収入があるため、空室になった際の損失が少なく、キャッシュフローが安定しやすいという特徴があります。
建物全部を保有している特性上、外観をグレードアップさせるなど、区分マンション投資と比べて経営の自由度が増す点も魅力です。
また、一棟マンションは資産規模が大きいため、賃貸事業が軌道に乗り、成功すれば大きな資産を残せる点もメリットといえるでしょう。建物を一棟所有していることから、減価償却を使った所得税の節税効果を得られるとともに、相続の際にも賃貸用として保有していた不動産に対しては一定割合まで相続財産評価額を下げられるため、相続対策としても利用できます。
一棟マンション投資は、土地を保有されている方や本人の属性が強く金融機関から高額な融資を受けられる方、そしてこれまでに不動産投資の経験がある方に向いた投資方法です。
一棟マンション投資のデメリット
一棟マンションを保有するためには多額な資金が必要です。建物のグレードにもよりますが、億単位の資金が必要になることもあります。物件の価格が高くなればなるほど、金融機関から融資を受けるには年収や保有資産など本人の属性が高いことが求められます。
また、マンションの規模が大きくなればなるほど共有施設の規模も大きくなるため、維持コスト(特に修繕費)がかかる点もデメリットでしょう。管理面でも一棟マンションとなると自分一人で管理を行うのは難しく、賃貸管理会社への委託が必然となります。その分委託費用もかかります。
区分マンションと大きく異なるのは流動性の低さです。区分マンションは物件の状態や立地に応じて買い手が見つかる可能性が高いですが、一棟マンションを売却しようと思っても高額なため、なかなか売れないといった状況になるケースも考えられます。
マンション投資には空室リスクや流動性リスク以外にも災害リスクなどさまざまなリスクが存在します。一棟マンションを保有することで、流動性リスクや災害リスクが大きくなることからも、一棟マンション投資を考える際には想定されるリスクをどのように分散できるかがポイントといえます。
投資用マンションにおける保有戸数別の暮らしイメージ
では、投資用マンションにおける保有戸数別の暮らしイメージを生活シーンごとに簡単に試算してみましょう。あくまでオーナー様になったときのイメージのために保有戸数を概算するためのものですが、基本となる式は以下のとおりです。
月額賃料(5万円)×12ヶ月×保有戸数×粗利率85%
ここではシンプルに計算するため、空室率は加味しないこととし、借入金の残債もなしで試算いたします。
ここで計算する数字は空室率や借入金の残債も考慮しないほか、通常であれば発生する修繕費や固定資産税、都市計画税、管理費も含めない前提で算出しています。実際に手元に残る額はもっと少なくなります。
衣食住には困らない暮らしを目指す
最近の物価上昇などの影響を考慮すると、衣食住に困らない暮らしを目指すには年金収入に加えて数万円が必要かもしれません。投資用マンション3戸以下の保有が目安となります。
1~3戸保有することで得られる年間の賃料収入は以下の式で求められます。
月額賃料(5万円)×12ヶ月×1戸×85%=51万円(月額4万2,500円)
月額賃料(5万円)×12ヶ月×3戸×85%=153万円(月額12万7,500円)
1~3戸保有することで51万円~153万円、月額にして4万2,500円~12万7,500円の家賃収入が確保できますので、年金収入に応じて最終的な保有戸数を求めるとよいでしょう。
趣味を我慢しない暮らしを目指す
趣味を我慢しない暮らしを目指すには、衣食住に困らない暮らしよりもさらに余裕が必要です。趣味の内容にもよりますが、年金収入以外に月額20万円~30万円程度の収入が理想的です。そうなると、保有する戸数の目安は5戸程度(4戸~7戸)と想定できます。
4戸~7戸保有することで、年間204万円~420万円の家賃収入が得られることから、粗利率を加味した年間の収入は以下のとおりとなります。
月額賃料(5万円)×12ヶ月×4戸×85%=204万円(月額17万円)
月額賃料(5万円)×12ヶ月×7戸×85%=357万円(月額29万7,500円)
5戸保有した場合だと、
月額賃料(5万円)×12ヶ月×5戸×85%=255万円(月額21万2,500円)
ですので、このくらい余裕があれば趣味を楽しみながら暮らすことができるのではないでしょうか。
自由気ままに旅行をする暮らしを目指す
自由気ままに国内や海外を旅行し、観光や食事、ショッピングを楽しむ生活を目指すなら、8戸程度の保有を考えましょう。具体的には8戸~12戸と思っておけばいいかもしれません。
8戸保有の場合、年間の家賃収入は480万円です。粗利率85%を加味すると年間の収益は408万円です。
12戸保有の場合は年間の家賃収入が720万円となり、粗利率85%を加味した年間の収益は612万円ですので、8~12戸保有で毎月34~51万円の余裕が生まれることになります。
自由気ままに旅行する暮らしを目指すなら、このくらいの規模を考えて保有戸数を維持することがポイントです。
好きなことを我慢しないセレブな暮らしを目指す
とにかく我慢せず好きなことをし、好きなものを好きなときに購入できるセレブな生活を目指すなら12戸以上の保有を考えましょう。
12戸保有している場合、月額家賃収入は51万円です。年金収入以外に51万円の収入が得られれば、セレブな生活は十分に送れるでしょう。
13戸以上保有するなら、年間の賃料収入は780万円以上ですので、粗利率85%を加味しても得られる年間収益は663万円、月額にして55万2,500円以上です。修繕費などの金額や経費を差し引いても十分な金額が残るのではないでしょうか。
このように、老後にどのような暮らし方をしたいかによって、目指すべき保有戸数の目安は変わってきます。また、マンション投資初心者であれば、最初から多くの戸数を所有することは難しいため、最初は1戸保有し、キャッシュフローに応じて保有戸数を増やしていく方法を考えるようにしましょう。
投資用マンション運用を成功に導くためのポイント
投資用マンション運用を成功に導くためのポイントとして、
・リスクコントロールを常に意識すること
・利回りだけで判断しないこと
・信頼できる賃貸管理会社を味方につけること
の3つが挙げられます。この章では、これらのポイントについて詳しく解説します。
リスクコントロールをつねに意識する
投資用マンションには、「空室リスク」「家賃滞納リスク」「修繕および老朽化リスク」などさまざまなリスクが存在します。そのため、これらのリスクをどのようにコントロールするか、その対策を怠らないようにすることが大切です。
例えば空室リスクであれば、①入居者様募集対応、②仲介対応、③管理対応(入居者様管理/建物管理)、④設備・工事対応の『4つの空室対策』を意識することが必要です。
そのほかターゲットとする入居者様の層に合った物件を保有するための立地条件を考えることも必要ですし、投資用マンションを維持していくうえでのコストを見込んだ資金計画を立てることも大切です。
さらに、最終的にその投資用マンションをどうしたいのかも考える必要があります。子どもに相続させるのか、一定の時期になったら売却するのか出口戦略の違いや不動産投資における目的により、必要な対策や優先順位も異なります。
表面利回りだけで判断しない
表面利回りとは、年間の家賃収入を物件の購入価格で割ったものをパーセンテージで表示したものです。例えば年間の家賃収入が120万円(月額10万円)で物件の購入価格が1,200万円だった場合、表面利回りは以下の式で求められます。
年間家賃収入120万円÷物件購入価格1,200万円×100=表面利回り10%
投資用マンションを購入するにあたっては、表面利回りだけで判断しないことが大切です。特に地方の物件などは区分マンション、一棟マンションともに高い表面利回りの物件が販売されていることがあります。多くの場合は、空室リスクや修繕/老朽化リスクのために物件価格が安くなっており、その結果として表面利回りが高くなっているケースです。
表面利回りの高さに飛びついて物件を購入すると、想定していたような家賃収入が得られず、その後の賃貸経営に苦労することもあります。実際に賃貸経営を開始するときの収益シュミレーションを組み立て、不動産投資の目的達成にマッチするか確認しましょう。
信頼できる賃貸管理会社を味方につける
マンション投資では信頼できる賃貸管理会社を味方につけることが成功に導く最大のポイントになります。信頼できる賃貸管理会社は、管理業務だけでなく賃貸経営全体をサポートしてくれるため、売却時の出口戦略や税金や相続などの悩みも合わせて相談できます。
賃貸経営のお悩みをトータルサポートする賃貸管理会社を味方につけることで、安心してマンション投資を行えるでしょう。特に、空室対策に強い賃貸管理会社を選ぶことは必須と言えるでしょう。
賃貸管理会社を選ぶ際には、公式サイトで実績や対応の迅速さ、提供しているサービスの内容などを確認し、自分に合っているかどうかを判断することはもちろん、心から信頼できると思える会社を選び、味方につけるようにしましょう。
まとめ
区分マンション投資と一棟マンション投資は性格がかなり異なります。そしてマンション投資を成功させるために重要なポイントは、オーナー様のご事情に寄り添い、賃貸経営をサポートしてくれる信頼できる賃貸管理会社を味方につけることです。
【リロの不動産】は、①入居者様募集対応、②仲介対応、③管理対応(入居者様管理/建物管理)、④設備・工事対応の『4つの空室対策』のノウハウがあり、管理オーナー様の優良物件が循環する、投資用マンション・アパートの売買ネットワークを保有しております。
マンション投資の売買や管理にお悩みの際は、ぜひ【リロの不動産】にご相談ください。
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この記事を書いた人
秋山領祐(編集長)
秋山領祐(編集長)
【生年月日】昭和55年10月28日。
【出身地】長野県上田市。
【趣味】子供を見守ること。料理。キャンプ。神社仏閣。
【担当・経験】
デジタルマーケティングとリブランディングを担当。
分譲地開発のPMや家業の土地活用などの経験を持つ。
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