【事例付】アパート経営の成功率とは? 賃貸経営の手順とリスク対策
2025.02.02アパート経営を検討しており、「どれくらい儲かるの?」「成功率はどれくらい?」といった疑問を持っている方もいるかもしれません。インターネット上では、「アパート経営の成功率は◯◯%!」といった記事も出回っていますが、信じていいのか疑問に思うでしょう。
結論として、アパート経営の成功率という公的な統計は存在しないため、成功率は◯◯%と決められません。その上で、アパート経営の正しいステップや、上手く運用するコツを押さえておけば、成功率を高めていくことは十分に可能です。
本記事では、アパート経営の基本や投資としてのメリット、アパート経営の始め方などを幅広く紹介します。これからアパート経営を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
▼この記事の内容
●アパート経営の成功率に関する公式な統計は存在せず、「成功率は◯◯%」といった客観的な根拠はない。成功の定義も人によって異なる。
●アパート経営は、土地を所有しているか否かでケースが分けられる。土地をすでに所有している場合、比較的低コストで始められるという優位性がある。
●土地を所有していない不動産投資家の場合、土地を購入してアパートを新築する、土地込みの新築アパートを購入する、土地込みの中古アパートを購入するの3パターンがある。
●地主が土地活用としてアパートを新築する手順は、経営目標の決定から始まる。不動産会社・施工会社とタッグを組んで、金融機関に融資の相談、建設工事を実施し、入居者様との賃貸借契約を結んで賃貸管理が開始される。
●アパート経営の成功率を高めるポイントとしては、空室リスクなどのリスクマネジメントを行うこと、アパート経営の学習を怠らないこと、信頼できる賃貸管理会社をパートナーに選ぶこと。
目次
「アパート経営の成功率」とは何か
まずは、「アパート経営の成功率」とは何なのかを考えていきましょう。
公式な統計は存在しない
アパート経営の成功率に関する公式な統計は存在せず、「成功率は◯◯%」といった客観的な根拠はありません。不動産会社などが独自に行っているアンケートによって成功率が提示されているケースもありますが、あくまで私企業の独自の見解であるといえます。
不動産業界においては、賃貸経営の収益性や入居率などのデータは一部公開されていますが、それが直接的に「成功」を示す指標とはいえないでしょう。国や自治体、民間の調査機関などが行うデータ収集は、物件の収益性や入居を網羅するものの、具体的な経営者の「成功」を測るものではないともいえます。
アパート経営による収入である不動産所得は税務署に対して申告する義務がありますが、「経営が成功しているかどうか」について申告する義務はありません。
以上のような事情から、経営が成功しているかどうかは個々のケースに依存するといえ、アパート経営の「成功率」という概念は、定量化や公式化ができないのが実情です。
「成功」の定義がなく、人によって異なるからアパート経営の目的が大切
そもそも、アパート経営における「成功」の定義は一様ではなく、経営者の価値観や目的や目標によって大きく異なります。
一部の経営者にとっては、物件が安定した収益を生み出すことが成功の指標である一方で、他の経営者にとっては、資産価値の増加や老後の備えとしての役割が重要な成功要因とみなされることがあります。また、物件を通じて地域社会に貢献することや、トラブルなくスムーズに運営できることを成功と考える経営者もいるでしょう。
このように、「成功」とは単なる収益性だけでなく多面的な視点で評価できるため、「アパート経営が成功している」状態を一律に定義することは難しいといえます。
だからこそ、アパート経営をはじめとした不動産投資は、経営自体の目的や目標を明確にすると、成功率を上げることにつながるといえます。
アパート経営の成功率を上げる方法については、以下の記事も参考にしてください。
【必読】不動産投資・賃貸経営の目的が明確なほど成功確率が上がる理由
アパート経営をする不動産経営者の収入は
成功率とは直接的な関係はありませんが、不動産経営者の収入については統計が存在します。国税庁の「申告所得税標本調査結果」によると、不動産所得の平均額は以下のとおりです。
年度 | 平均所得額 |
2016年 | 5,120,638円 |
2017年 | 5,170,151円 |
2018年 | 5,181,407円 |
2019年 | 5,207,633円 |
2020年 | 5.399,575円 |
このように、不動産所得の平均額は、年500万円程度となっています。ただし、この中にはアパート経営だけでなくマンション経営や戸建て賃貸経営なども含まれているため、あくまで参考程度にとどめてください。
また、収入の分布としては、「300万円超400万円以下」が13.66%ともっとも割合が多く、その次が「400万円超500万円以下」で10.44%となっています。
アパート経営者の収入については、以下の記事も参考にしてください。
アパート経営の年収と暮らしとは?アパート経営の収入を上げる方法
アパート経営のいくつかのパターン
アパート経営と一口にいっても、土地を所有しているかどうかによっていくつかのパターンに分けられ、経営方法や特徴がそれぞれ異なります。
土地を所有しているケース
「代々家が地主である」「相続・贈与によって土地を入手した」などのケースでは、土地活用としてアパートを建築し、経営する方法がとれます。
土地をすでに所有している場合、新たに土地を購入する必要がないため、比較的低コストで始められるという優位性があるといえるでしょう。加えて、土地を持っていることで金融機関からの融資が比較的受けやすくなるメリットもあります。
ただし、所有している土地自体に賃貸需要があるかどうかについては、綿密な調査が必要となります。地価が低いエリアや賃貸需要が少ない地域では、入居率が下がり収益性が低くなる可能性があるうえ、土地の形状などによっては建設できる建物の規模やタイプが制限されるケースも考えられます。
土地を所有している場合は、初期費用を抑えられる一方で、土地の特性を活かした計画的な経営戦略が必要となるといえるでしょう。
地主のアパート経営については、以下の記事も参考にしてください。
【事例付き】地主のアパート経営が資産保全・税金対策に有利な理由と注意点を解説
土地を所有していないケース
現状、土地を所有していない不動産投資家がアパート経営を始める場合、取りうる戦略としては以下の3つが考えられます。
●土地を購入してアパートを新築する
●土地込みの新築アパートを購入する
●土地込みの中古アパートを購入する
それぞれについて、特徴や成功の秘訣を簡単に紹介します。また、土地購入から始めるアパート経営については、以下の記事を参考にしてください。
土地購入から始めるアパート経営!土地選びの方法や注意点を徹底解説
土地を購入してアパートを新築する
土地を購入してアパートを新築する場合、土地の購入費用とアパートの建築費が必要となるため、必然的に初期費用が高額になります。
このケースでは、土地の選定がアパート経営の成功に大きな影響を与えます。交通の利便性や周辺の生活環境、人口の推移などを綿密に調査して、客観的な事実に基づいて土地を選定すれば、大きな収益を挙げられる可能性があるでしょう。
また、新築アパートは外観や設備が最新であるため、入居者にとって魅力的であり、高い家賃を設定しやすい点がメリットです。さらに、耐震性能や断熱性など最新の基準を満たす建物を建てることで、長期的に安定した収益を期待できます。
初期費用の高さがネックにはなりますが、立地というアパート経営において最重要ともいえる部分を選択でき、建物部分も一から設計できるため、経営の自由度が高いというメリットがあります。
土地込みの新築アパートを購入する
土地込みでパッケージされた新築アパートの投資商品を購入して経営するという手法もあります。
土地と建物がセットになった新築アパートを購入する場合、土地探しや建物の設計・建設といったプロセスを省けるため、手間が大幅に軽減されます。また、土地込みの新築アパートの場合は、不動産投資の専門家の手によって企画されているため、事業性や収益性は期待できるといえます。
すでに運営が開始できる状態で購入することが一般的で、入居者様がいる場合は即座に収益が見込めます。さらに、新築物件のため、設備が最新で修繕費用が当面かからない点や、減価償却を活用した節税効果が期待できる点もメリットです。
ただし、販売価格には土地代およびアパートの建築費用に加えて、不動産会社の利益が含まれるため、他の手法と比較すると初期費用はさらに高額になるケースが多くあります。
土地込みの中古アパートを購入する
土地と建物がセットになった中古アパートを購入する場合、初期費用を抑えつつアパート経営を始められる点が魅力です。
また、すでに運営されている物件を購入してオーナーチェンジする場合であれば、購入当初から家賃収入を得られます。これまでの賃料収入や入居率などの実績データを参考に、収益計画を立てやすい点もメリットです。
加えて、土地を新規に取得する必要がないため、駅近などの希少性が高く土地の新規取得が難しい物件も経営できる可能性があります。
ただし、中古物件特有のリスクとして、建物の老朽化が挙げられます。修繕費用やメンテナンス費用が多くかかる場合があり、事前に建物の状態や改修工事の履歴などをしっかり確認しておく必要がある点に注意が必要です。
アパート経営のステップガイド
ここでは、アパート経営までの流れについて解説します。実際のステップはすでに土地を所有している場合と、土地を購入する場合で異なりますが、今回は地主が土地活用としてアパートを新築するケースを紹介します。
アパートなど賃貸物件の購入および売却の具体的な事例については、以下も参考にしてください。
アパート経営の目的と数値目標の設定
アパート経営を始める際、まずはアパート経営をする目的と経営目標を明確に設定しましょう。
例えば、「本業の収入にいくらかのキャッシュフローをプラス」「節税対策」「将来のための資産づくり」「相続対策として活用する」などの目的が考えられますが、目的によって投資戦略の方向性が大きく変わります。
アパート経営を行う目的を明確にすることで、立地に合った物件の規模やタイプ、運営戦略が見えてきます。また、目的を達成するための経営目標を数字で明確にしておけば、今後の資金計画を立てるうえでの有力な判断材料にもなるでしょう。
具体的な目的と数値目標を設定することで、計画がぶれることなく進められ、リスク管理もしやすくなるため、最初の段階でしっかりと検討することが重要です。
アパートなど不動産投資の利回り計算については以下の記事も参考にしてください。
【総集編】アパート経営の利回りの目安は?不動産投資の指標と注意点
【徹底解説】不動産投資の利回り計算! 賃貸経営を成功に導く指標とは
市場調査の実施
市場調査は、アパート経営の収益性を左右する重要なプロセスです。
信頼できる不動産会社と協力し、所有している土地付近の地域の人口動態や賃貸需要、競合物件の状況、家賃相場などを調査し、ターゲットとなる入居者層を明確にします。
例えば、単身者向けのワンルームが需要の高いエリアなのか、ファミリー向けの広い部屋が求められているのかを理解しておく必要があります。
また、周辺の利便性や公共交通機関、商業施設、学校などの存在も調査項目に含まれます。学校や商業施設の移転や都市計画などの情報もしっかりと調査しておけば、適切な規模や間取りや設備の方向性を決定できるはずです。
中古アパートなどの物件購入については、以下の記事も参考にしてください。
収益物件の買い方!不動産投資の物件購入は目的設定と情報収集が重要な理由
収益物件購入時の注意点とは? 収益物件の種類とリスクへの対策を解説
アパート一棟買い・マンション一棟買いを数字で判断!一棟投資成功に向けたポイントを解説
一棟アパート購入から始める不動産投資!成功者が確認する指標と利回りも解説
【事例付】中古アパートを購入するときの注意点と対策を事例と一緒に徹底解説
資金計画の策定
資金計画は、アパート経営を成功させるための基盤です。
建設費用、運転資金を試算し、総投資額を算出します。必要な投資額に対して、自己資金の割合や必要になる融資額を具体化しておくことも重要です。
家賃収入をもとにした返済計画も慎重に検討します。例えば、返済額が家賃収入を上回らないようにするためには、利回りや収支シミュレーションを詳細に行う必要があります。さらに、突発的な修繕費用や空室リスクに備えるため、予備資金の確保も重要です。
資金計画は余裕を持って設定し、長期的な経営の安定を目指しましょう。
アパート経営に必要な自己資金については、以下の記事も参考にしてください。
アパート経営に必要な自己資金はいくら? 成功に導く出口戦略と資金計画
建築計画の立案
資金計画が策定できたら、市場調査の結果をもとに、建築計画を立案していきます。
具体的には、立地やターゲット層に適したアパートの規模やデザイン、間取り、設備などを決定していきます。例えば、若い単身者が多いエリアでは、ワンルームや1LDKが中心となることが多いでしょう。
一方、ファミリー層を狙う場合は、広めの2LDKや3LDKが求められます。対象のターゲットが必要であろう、入居者ニーズを満たす設備の導入もご検討ください。
建築士やデザイナーに依頼して、オーナー様の要望を元に設計図を作成していくのが一般的ですが、実施有無を問わず、ここで賃貸管理会社の意見も聞けると今後の運営も安心できるでしょう。
金融機関に融資の相談
アパート建設には多額の資金が必要なため、金融機関との融資交渉が重要です。
事前に資金計画を作成し、土地の価値や収支シミュレーション、建設計画を含めた具体的な資料を準備します。金融機関に対しては、収益性の高さやリスク管理の体制を詳細に説明することで、信用度が高まり、融資額や金利などの面で有利な条件で融資してもらえる可能性が高まります。
また、融資条件(金利、返済期間、保証人の要否など)を複数の金融機関に見積もりをもらって比較した上で交渉し、有利な条件を引き出すことも心がけましょう。建築会社や不動産会社のコネクションもあるので、一度相談されることを推奨いたします。
行政手続きと許可の取得
アパート建設には、地域の法令や建築基準法に基づく許可が必要です。
具体的には、建築確認申請や開発許可、都市計画法に基づく届け出などが含まれます。これらの手続きは専門的な知識を要するため、不動産会社と連携して進めるのが一般的です。
施工会社の選定と工事請負契約
アパート建設の品質やコストは施工会社の選定に大きく影響されます。
複数の施工会社から見積もりを取り、建築費用、施工期間、アフターサポート体制を比較検討しましょう。施工会社の選定時は、過去の施工実績や評判を確認し、信頼性の高い会社を選ぶことが重要です。施工会社の選定後は、工事請負契約を締結します。
この契約は、建設費用の支払い条件や工期、仕様書、保証内容などについて明確に記載し、双方が納得した上で締結します。
入居者募集活動の開始
建築確認が下りたら、不動産会社に依頼して入居者募集を開始します。
不動産仲介会社と提携し、ターゲットとなる入居者層に適した広告を展開します。具体的には、インターネット広告やチラシの配布、看板設置などを活用します。また、設備や周辺環境の魅力をアピールするために、内覧会を開催することも効果的です。
事前に入居者を確保しておけば、アパート完成後の空室リスクを軽減し、スムーズな経営開始につなげられるでしょう。
建設工事の実施
施工会社による建設工事が開始されます。
工事中は、進捗状況や品質管理を定期的に確認することが重要です。設計図通りに進んでいるか、安全基準が守られているかなどをチェックし、必要に応じて施工会社と調整を行います。
物件完成と引き渡し
建設工事が完了し、竣工後の検査が完了したら、施工会社から物件の引き渡しが行われます。この際には、施工が設計図通りであるか、内装や設備に不備がないかを詳細に確認します。
物件の引き渡し、金融機関からのローンの実行、施工会社へ工事残額の支払い、不動産登記は同日にを行うことが原則です。
入居者様との賃貸借契約と賃貸管理開始
物件引き渡し後、入居者様との賃貸借契約を締結します。
契約内容には、家賃や共益費、契約期間、解約条件などを明記し、双方が納得した上で契約を進めます。
入居後の管理業務は、賃貸管理会社に委託する場合も多く、家賃回収やトラブル対応、修繕手配などを効率的に行えますが、引き渡し前に賃貸管理会社を決めて契約しておくのがおすすめです。一般的には、計画段階からの不動産会社に引き継いでもらう形がスムーズでしょう。
アパート経営のメリット
アパート経営には、他の金融商品にはない独自のメリットがあります。これらは、資産運用の安定性や税制面での優遇措置、将来の資産形成の可能性など、多岐にわたります。
具体的には、以下のようなメリットが挙げられます。
●長期・安定的な収益が期待できる
●借入というレバレッジをかけられる
●手間がかからないので副業が可能
●将来性のある資産を形成できる
●インフレ対策になる
●所得税・住民税の節税になる
●相続税の節税ができる
それぞれについて、詳しく解説します。また、不動産経営のメリットについては、以下の記事も参考にしてください。
失敗しない中古アパート経営とは? メリット・リスク・対策方法を解説
公務員はアパート経営できる? 公務員が不動産投資を始める意外なメリット
【保存版】不動産投資の損益分岐点で着目するポイントは運用と売却!
長期・安定的な収益が期待できる
アパート経営は、長期的に安定した収益を得られる投資手法の一つです。ある程度のリスクをともないつつも、中程度のリターンが期待できるところから「ミドルリスク・ミドルリターン」の投資方法とされています。
家賃収入は日常生活に必要な居住環境に根ざしているため、景気動向・経済環境の急激な変動を受けにくい特徴があります。株式投資などは短期間に大きな収益を上げられる可能性がある一方、株価の値動きが大きく、アパート経営ほど安定しているとはいえません。
家賃は毎月発生し、一定の需要がある地域で適切に管理されたアパートは、長期にわたって安定的な収益が期待できるでしょう。
また、株式やFX、仮想通貨といった投資商品と比較して、不動産は価格の変動が相対的に緩やかであり、収益の予測がしやすい特徴があります。ローンを完済すれば純収入が増加し、引退後の安定した生活費としても利用できます。
借入というレバレッジをかけられる
アパート経営を始める際、全額自己資金で投資するケースは少なく、多くは金融機関からの借り入れを活用します。
金融機関各社では不動産投資ローン(アパートローン)を提供しているため、アパート経営を始めるにあたってローンを活用できるのが大きなメリットです。
借入をしてできる投資は、不動産投資以外になかなかありません。不動産という金額の大きな実物資産を保有する投資を、少ない資産で始めることができるのです。
物件への投資にあたっては頭金(自己資本)も投下しますが、その何倍もの融資(他人資本)が活用できるということは、「レバレッジ効果」を活かせているのです、レバレッジとは「テコの原理」を意味し、小さな力で大きなものを動かすことを意味します。
例えば、自己資金が2,000万円の場合、レバレッジを効かせなければ2,000万円の物件しか購入できません。仮に利回りが8%だとすると、年間の家賃収入は160万円です。
レバレッジを効かせて、8,000万円の融資に成功すると、1億円の物件を取得できます。利回りが同じ8%として計算すると、年間の家賃収入は5倍の800万円です。ローン元本・利息の返済を考慮に入れても、実質キャッシュフローはレバレッジを効かせない場合を上回るため、資産拡大をスピードアップさせられるのです。
不動産投資におけるレバレッジについては、以下の記事も参考にしてください。
【必読】不動産投資のレバレッジ効果!基礎知識や計算・注意点も解説
手間がかからないので副業が可能
アパート経営は不動産賃貸業であり、投資というよりも事業に近いものであるともいえます。しかし、賃貸管理会社に業務を委託すれば、オーナー様自身の手間を最小限に抑えられるため、副業として運用していくことが可能です。
賃貸管理会社は入居者募集や家賃回収、トラブル対応、修繕業務などを代行するため、オーナー様は物件の運営に関わる日常的な業務から解放されます。この仕組みにより、会社員や他の事業を行う投資家であっても、副業としてアパート経営を行いやすくなります。
将来性のある資産を形成できる
アパート経営における不動産は、収益を生む資産であると同時に、将来性のある財産としても価値があります。融資を活用すれば、比較的小規模な自己資本からも投資が開始でき、インカムを得ながら一定規模の資産形成が可能となります。
また、ローン返済が進むにつれて負債が減少し、純資産が増加します。将来的には売却益を得ることもでき、これが資産の形成に大きく寄与します。また、不動産は所有するだけでなく、将来の子孫に引き継ぐことができる資産としても有用です。
短期的な収益だけでなく、長期的な資産形成の観点でもアパート経営には大きな魅力があります。
インフレ対策になる
不動産は実物資産であるため、インフレに強い資産の一つとして知られています。インフレが進むと物価が上昇するため、不動産の資産価値や家賃もそれに応じて上昇する傾向があります。
融資を活用している場合、金利上昇リスクに気をつける必要がありますが、インフレが進むにつれてローン元本の実質的な価値が目減りするメリットもあります。これを「債務者利得」と呼びますが、インフレにともなう不動産投資家のメリットの一つです。
これにより、インフレ下でも資産の価値を維持しながら収益を上げることが可能です。また、インフレ時には現金の価値が目減りするため、不動産に投資することでそのリスクを軽減し、経済的な安定を図れます。
近年は日本でもインフレが進行しており、早急な対策が必要といえるため、アパート経営を投資の選択肢として検討する価値は大いにあるでしょう。
所得税・住民税の節税になる
アパート経営などの不動産所得は総合課税であり、確定申告時に給与所得や事業所得と合算ができ、損益通算が可能です。損益通算によって、給与所得・事業所得の黒字額を減らせるので、課税所得を大幅に圧縮できます。
なぜ不動産所得で課税所得を圧縮できるのかというと、不動産所得は「減価償却」という会計処理をするからです。減価償却とは、事業に用いる一定の資産を購入時に経費計上するのではなく、耐用年数に応じて複数年に分けて計上するという会計処理のことをいいます。
減価償却という会計処理によって、実際にお金を支払っていなくても不動産所得を帳簿上赤字にできるため、損益通算によって課税所得を減らせるのです。結果として、所得税や住民税を節税できます。
ただし、物件を売却する際に譲渡所得を計算しますが、取得費から減価償却費を差し引くので、譲渡所得が大きくなってしまいます。その分、譲渡所得税が多額になりますので、注意するようにしましょう。
相続税の節税ができる
アパート経営は相続税対策としても有効です。相続が発生した場合、現金だとその金額100%が相続税評価額になりますが、不動産は評価額を下げることができます。
例えば、土地は路線価、建物は固定資産税評価額によって、相続税が評価されます。また、アパートなどの賃貸不動産は他人に貸している資産であるため、さらに評価を下げることができます。
アパート経営の成功率を高めるポイント
アパート経営の成功率を高めるためには、以下の3つのポイントを押さえておきましょう。
●リスクマネジメントを行う
●アパート経営の学習を怠らない
●信頼できる賃貸管理会社をパートナーに選ぶ
アパート経営の失敗例と回避方法については、以下の記事も参考にしてください。
アパート経営の失敗体験談9選と回避方法!よくある失敗事例から学ぼう
リスクマネジメントを行う
アパート経営には、以下のような特有のリスクが存在します。
●空室リスク
●家賃下落リスク
●家賃滞納リスク
●老朽化・修繕リスク
●金利上昇リスク
ただし、これらのアパート経営にともなうリスクは基本的に事前の予測が可能であるため、対策をとっておくことが重要です。ここでは、アパート経営におけるリスクマネジメントについて解説します。
空室リスクと対策
空室リスクとは、アパートの一部に入居者様が見つからず、家賃収入が減少するリスクを指します。不動産投資において、真っ先に意識されるリスクともいえるでしょう。
空室リスクを軽減するためには、賃貸需要の高い立地の物件を選ぶことが重要です。駅近や商業施設の近隣など、入居希望者が集まりやすい場所を選ぶことで、空室を最小限に抑えられます。
賃貸管理会社と連携して、時代の流れやターゲット層に応じた間取りや設備を用意し、物件の魅力を高める工夫も重要です。賃貸需要のある立地であったとしても、競合する物件が大量に供給されている場合は、過当競争となり共倒れになる可能性があるので、避けておいたほうがいいでしょう。
アパート経営においては、「入居者募集対応」「仲介対応」「管理対応(入居者管理/建物管理)」「設備・工事対応」の『4つの空室対策』を意識することが重要です。
『4つの空室対策』による改善事例は、以下の記事を参照してください。
家賃下落リスクと対策
家賃下落リスクとは、建物自体の劣化や周辺環境の変化により、家賃が下がることで収益が減少するリスクです。アパートなどの収益物件は経年変化により、築年数が増えるほど家賃がゆるやかに下落していくことが一般的です。
また、人口減少や地域の利便性低下も、家賃下落の要因となります。このリスクを抑えるためには、まず物件選びの段階で将来性のある立地を見極めることが重要です。地域の人口動態や開発計画を調査し、長期的に需要が見込めるエリアを選びましょう。
らに、定期的なリフォームや修繕を行い、建物の価値を維持することも欠かせません。設備のアップデートや外観のリニューアルは、物件の競争力を高めます。
家賃滞納リスクと対策
家賃滞納リスクとは、家賃を滞納する入居者が出ることにより収益が減少するリスクです。
家賃滞納はこじれると物件の明け渡し訴訟まで発展し、多くの人的・金銭的コストが発生します。
家賃滞納リスクを軽減するためには、まず入居者の選定を慎重に行うことが重要です。収入証明書の確認や保証人の設定、入居者様の信用情報を基にした審査を徹底することで、家賃支払い能力の高い入居者を確保できます。
家賃保証会社への加入をお願いするのも有効です。万が一の滞納発生時にも、オーナー様には家賃が振り込まれますので安心です。保証会社は滞納が発生した際の回収代行も行うため、オーナー様の負担を大幅に軽減します。
滞納家賃回収の改善事例については、以下の記事も参照してください。
老朽化・修繕リスクと対策
物件の老朽化や修繕リスクとは、収益物件の老朽化により修繕・設備費用が発生するリスクを指します。アパートなどの不動産は経年劣化していくため、必ず修繕が必要になるタイミングが発生します。また、物件の価値向上のためのリノベーションを実施すれば、その費用も必要となります。
修繕リスクを軽減するためには、定期的な点検と予防的なメンテナンスが不可欠です。例えば、外壁や屋根の補修、給排水設備のチェックを定期的に行っておけば、大規模な修繕工事の回数を減らすことにつながり、結果として修繕費用が押さえられます。また、修繕積立金を計画的に積み立てることで、予期せぬ高額修繕にも対応可能です。
老朽化・修繕リスクの改善事例については、以下の記事も参照してください。
金利上昇リスクと対策
金利上昇リスクとは、変動金利型のローンを利用している場合に金利が上昇することで返済額が増加し、収益性が低下するリスクを指します。
長らく日本では超低金利時代が続いてきましたが、2024年現在、物価上昇や金融政策の変更により金利上昇が現実味を帯びています。このような環境下で、金利上昇リスクを見越した計画と対策が重要です。
金利上昇リスクへの第一の対策として、固定金利型のローンを選ぶことが挙げられます。固定金利型ローンは、返済額がローン契約時に固定されるため、金利上昇の影響を受けません。これにより、資金計画を安定させ、予測不能な支出の増加を防ぐことができます。
ただし、固定金利は変動金利に比べて初期の金利が高めに設定されているので、収益計画とリスク許容度を比較検討しながら選択する必要があります。
一方で、すでに変動金利型のローンを利用している場合には、金利動向を見極めながら借り換えを検討することが効果的です。例えば、低金利の段階で固定金利に切り替えることで、将来的なリスクを軽減できます。また、複数の金融機関を比較し、より有利な条件のローンに借り換えることで、金利負担を抑えることが可能です。
収益性が悪化する前に物件を売却することもリスク管理の選択肢となります。黒字経営の段階で売却することで、ローンを完済しつつ手元に資金を残すことができ、次の投資への準備を整えられます。特に金利上昇が急激に進む場合、売却タイミングを逃さないことが重要です。
アパート経営の学習を怠らない
アパート経営の成功には、継続的な学習が欠かせません。
不動産市場は常に変化しており、人口動態や経済状況、税制改正などさまざまな要因が収益に影響を与えます。これらの変化を理解し、適応する能力を高めることが、経営の安定につながります。
具体的には、不動産投資セミナーや書籍、オンラインコースなどを活用して、基礎知識から応用まで幅広く学ぶことが重要です。さらに、不動産市場のトレンドや地域の賃貸需要の動向を常にチェックし、時勢に合わせた経営戦略を練ることも必要です。
また、税務や法務に関する知識を深めることで、節税対策やトラブル回避が可能になります。特に、税制は毎年のように改正があるため、新しい情報を常にキャッチする姿勢が求められます。信頼できる専門家と連携しつつ、自ら学び続ける姿勢を持つことが、リスクを抑えながら収益を最大化する秘訣です。
信頼できる賃貸管理会社をパートナーに選ぶ
アパート経営において、信頼できる賃貸管理会社を選ぶことが核心的に重要です。
管理会社は入居者の募集から契約手続き、家賃の徴収、トラブル対応までアパート経営にまつわる幅広い業務を代行するため、その質が経営全体に大きく影響します。信頼できる管理会社を選ぶためには、実績や評判を確認することが重要です。
また、地元での経験が豊富な会社は、地域の賃貸需要や市場相場を熟知しており、適切な運営をサポートしてくれるはずです。
専門的な知見と実績があり、賃貸経営を総合的にサポートしてくれる賃貸管理会社と契約を結ぶことが、アパート経営の成功には欠かせないといえるでしょう。
賃貸管理に関する事例については、以下の記事を参照してください。
アパート経営を成功させるなら【リロの不動産】にご相談を
本記事では、アパート経営を開始するステップやアパート経営の成功率を高めるコツなどについて紹介しました。土地活用の方法や資産形成の手法として、アパート経営は有効な手段といえます。成功率を少しでも高めるためには、信頼できる賃貸管理会社をパートナーに選ぶのが非常に重要です。
これからアパート経営を検討している方は、賃貸管理の実績が豊富な【リロの不動産】にご相談ください。
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この記事を書いた人
秋山領祐(編集長)
秋山領祐(編集長)
【生年月日】昭和55年10月28日。
【出身地】長野県上田市。
【趣味】子供を見守ること。料理。キャンプ。神社仏閣。
【担当・経験】
デジタルマーケティングとリブランディングを担当。
分譲地開発のPMや家業の土地活用などの経験を持つ。
リノベした自宅の縁の下に子ども達の夢が描かれている。