事例で学ぶマンションの賃貸管理とは?管理業務と効果から選ぶ賃貸管理会社の選び方
2025.11.02
マンション経営において賃貸管理は、収益安定に直結する重要な業務です。その業務は入居者募集からクレーム対応まで多岐にわたります。「管理に手間をかけられない」「費用はどのくらいかかるのか」など、どこまで専門会社に任せるべきか悩むオーナー様は少なくありません。
本記事では、賃貸管理の具体的な業務内容から管理会社の選び方、自主管理との違いまでを解説します。経営スタイルに合った管理方法を見極めるためにお役立てください。
▼この記事の内容
●マンション経営において賃貸管理は、収益安定に直結する重要な業務。満足度が高ければ長期入居につながり、空室リスクの低減や安定した家賃収入が期待できる。転勤などで自宅の分譲マンションを貸す場合(いわゆるリロケーション)でも、賃貸管理は不可欠。
●賃貸経営に関わる会社には「賃貸管理会社」と「賃貸仲介会社」がある。賃貸管理会社は、オーナー様に代わって継続的な管理業務を行う。賃貸仲介会社は、入居希望者を探し、オーナー様との賃貸借契約を成立させることを目的とする。
●賃貸マンションの管理方式は、「自主管理」と「管理委託」の2つに分類される。自主管理は、オーナー様自身が物件の管理業務を行う形態。管理委託は、専門の賃貸管理会社に委託する形態。
●マンションの管理委託には、一般の管理委託とサブリース(一括借上)がある。一般の管理委託は、賃貸管理会社がオーナー様に代わって賃貸経営の実務を担う仕組み。サブリースは、賃貸管理会社がオーナー様から物件を一括して借り上げ、第三者の入居者様に転貸する形態。
●サブリースでは、契約で定めた保証賃料がサブリース会社からオーナー様に支払われるため、空室リスクや家賃滞納リスクが軽減される。一方、オーナー様の都合での契約解除は極めて難しく、契約の途中で家賃が減額されるリスクもある。
●賃貸管理の業務には入居者管理と建物管理がある。入居者管理としては、入居者募集(リーシング)業務、家賃回収業務、トラブル・クレーム対応業務、更新契約・退去業務などがある。建物管理としては、日常清掃、設備管理、建物本体の維持管理、大規模修繕の準備などがある。
●マンションの賃貸管理会社選定のポイントとしては、管理戸数が多いか、賃貸住宅管理業者であるか、管理業務範囲を明確にしているか、入居者募集力はあるか、担当者にコミュニケーション能力があるか、トラブル対応力があるか、会社に信頼性と安定性はあるか、がある。
賃貸管理とは
賃貸管理とは、マンションの賃貸経営に不可欠な管理業務全般を指します。入居者募集や家賃の集金、トラブル対応といった「入居者管理」と、建物・設備の清掃や維持・修繕などの「建物管理」があり、業務は多岐にわたります。
マンションの賃貸管理の重要性
マンション経営における賃貸管理は、入居者満足度を通じて収益を安定させる重要な役割を担います。満足度が高ければ長期入居につながり、空室リスクの低減や安定した家賃収入が期待できるためです。特に複数世帯が住む物件では、管理の質が建物全体の評判を左右します。
水漏れなどの緊急トラブルへの迅速な対応や、共用部の行き届いた清掃は、入居者様の安心や信頼につながります。逆に対応が悪いと、入居者様の不満が早期退去や「住みにくい」という評判を招き、新たな入居者募集の妨げにもなりかねません。
入居者様に快適な住環境を提供し続けることが、結果として安定した賃貸経営への近道になるのです。
分譲マンションの1室を貸す場合でも必要
転勤などで自宅の分譲マンションを貸す場合(いわゆるリロケーション)でも、賃貸管理は不可欠です。一室だけであっても、入居者対応や家賃回収といった大家としての業務は必ず発生します。オーナー様が遠方に住む場合は、自身での対応が難しくなります。
急な設備トラブルへの業者手配や、近隣住民との騒音問題など、現地での迅速な対応が求められるケースは少なくありません。こうした事態に個人ですべて対処するのは大きな負担となるでしょう。
賃貸管理会社に委託すれば、オーナー様は遠方にいても日常の管理業務から解放されます。空室時の募集活動も含めて専門家に任せられるため、安心して円滑な賃貸経営を進めることが可能です。
賃貸管理会社と賃貸仲介会社の違い

賃貸経営に関わる会社には「賃貸管理会社」と「賃貸仲介会社」があり、その役割は明確に異なります。
賃貸管理会社は、オーナー様に代わって継続的な管理業務を行います。主な業務は、家賃の集金や滞納督促、クレーム対応、建物の清掃・メンテナンス、退去時の原状回復手続きなど多岐にわたります。収入源は、オーナー様から毎月支払われる「管理委託料」です。
賃貸仲介会社は、入居希望者を探し、オーナー様との賃貸借契約を成立させることを目的とします。物件の広告掲載や内見の手配、契約時の重要事項説明などが主な業務です。賃貸仲介会社の収入源は、契約成立時に成功報酬として受け取る「仲介手数料」で、契約1件ごとに報酬が発生する仕組みです。
賃貸管理会社は長期的な運営のパートナー、賃貸仲介会社は入居者募集時のパートナーと役割が分かれています。ただし、一つの不動産会社が管理と仲介の両方を手がけているケースも多くあります。
マンションの賃貸管理の基本的な枠組み
賃貸マンションの管理方式は、大きく分けてオーナー様自身が行う「自主管理」と、専門会社に任せる「管理委託」の2つに分類されます。まずは、この基本的な枠組みについて押さえておきましょう。
収益物件の自主管理

自主管理とは、マンションオーナー様自身が物件の管理業務をすべて行う形態です。入居者募集から契約手続き、家賃の集金、クレーム対応、退去立会い、原状回復工事の手配まで、賃貸管理会社を介さずオーナー様が直接対応します。
自主管理のメリット
マンションを自主管理する最大のメリットは、管理費用がかからないことです。賃貸管理会社に支払う委託手数料がゼロになるため、その分を収益として手元に残せます。利回りを重視するオーナーにとって、コスト削減効果は大きな魅力です。
経営の自由度が高いことも魅力です。「リフォームはこの会社に頼みたい」「この条件でなら家賃を下げて早く入居者様を決めたい」といった判断を、誰にも相談せずスピーディーに行えます。自分の思い通りに経営を進めたい方には大きな利点でしょう。
賃貸経営に関する実践的な知識が身につく点も見逃せません。入居者様と直接やり取りをしたり、自分の目で建物の状態を確認したりすることで、物件のわずかな変化や入居者様のニーズをいち早く察知できるようになります。この経験の積み重ねが、より的確な経営判断を下すための土台となるのです。
自主管理のデメリット
自主管理の大きなデメリットは、時間と労力がかかる点です。入居者様からの連絡は昼夜を問わず、急なトラブルには自ら駆けつける必要があります。他に本業を持つオーナーにとっては、大きな負担となり得るでしょう。
また、専門知識が求められることも挙げられます。賃貸経営に関する法律や条例は改正されることも多く、つねに最新情報を学び続けなければなりません。
また、精神的なストレスも軽視できません。 家賃滞納の催促や住民トラブルの仲裁など、個人で抱えるには重い問題も起こり得ます。知識や経験がないままの対応は、かえって事態を悪化させる恐れもあります。
物件が遠方にあったり複数所有していたりすると、上記に挙げた負担が一層増大するため、途中で限界を感じて管理会社に委託するオーナーも少なくないのが実情です。
自主管理についての詳細は以下の関連記事・改善事例もご参照ください。
不動産は「自主管理」と「管理委託」のどっち?メリット・デメリット
大家さんが直接賃貸管理する際の業務とは?よくあるトラブルや改善事例も紹介
収益物件の管理委託
管理委託とは、オーナー様が賃貸管理業務の全部または一部を専門の賃貸管理会社に委託する形態です。賃貸管理会社との間で管理委託契約を結び、契約内容に応じて入居者対応や建物管理、家賃回収などの業務を代行してもらいます。
管理委託のメリット
管理会社に物件の管理を任せる一番のメリットは、賃貸経営にかかる手間やストレスをぐっと減らせることです。
入居者様からの問い合わせやクレーム、夜間の水漏れといった突発的なトラブルも、賃貸管理会社が対応してくれるので、オーナー様自身が動く必要はありません。24時間体制で対応してもらえる体制が整っていれば、本業が忙しい方や、物件が遠方にある方でも安心して任せられます。
さらに、専門的な知識と経験を持つプロが間に入ることで、安定した家賃収入にもつながります。地域の市場を踏まえた家賃設定や、的を射た入居者募集で、空室のリスクも抑えられるでしょう。
もし家賃の滞納があっても、初期の段階から適切に対応してくれるので、トラブルが長引く心配も減ります。加えて、法律の改正にも目を配ってもらえるため、知らず知らずのうちにルール違反になってしまうような事態も避けやすくなります。
管理委託のデメリット
管理委託はメリットが大きい一方、いくつか注意したいデメリットもあります。
まず、毎月の管理手数料がかかる点です。一般的には家賃収入の5%前後が相場で、自主管理と比べてその分だけ手元に残る収益は減ってしまいます。契約内容は様々で、手数料が3%程度のものから、サブリース契約などでは10数%になるケースもあります。
契約で決められた業務の範囲外の対応には、別途費用がかかることも珍しくありません。「退去時の立会いは有料」「共用部の定期清掃は対象外」などがその一例です。契約時に業務範囲を細かく確認しないと、思わぬ出費につながるため注意しましょう。
賃貸管理会社の対応力や報告体制に差がある点も重要なポイントです。すべてを任せきりにすると物件の状況を把握しづらく、報告が不十分な会社ではトラブルの発見が遅れるリスクもあります。信頼できるパートナーを選ぶことが、安定した賃貸経営を成功させるための、もっとも重要なカギと言えるでしょう。
管理委託についての詳細は、以下の関連記事・改善事例もご参照ください。
【事例付】管理委託契約とは? 委託管理と賃貸管理会社の選定方法!
賃貸経営の核心となる不動産の賃貸管理! 管理会社の対応力と長期視点が大事
賃貸経営サポートとは? 不動産投資の成功を左右する管理会社の実力
マンションの管理委託の主な形態

一口に管理委託といっても、契約形態にはいくつか種類があります。マンションの賃貸管理で代表的なのは、通常の一般的な管理委託と、管理会社が物件を一括で借り上げるサブリース(=一括借上げ)です。
一般の管理委託
一般の管理委託とは、賃貸管理会社がオーナー様に代わって賃貸経営の実務を担ってくれる仕組みです。入居者募集から家賃集金、クレーム対応、建物・設備の維持・点検といった賃貸経営にかかる業務を、契約内容に応じて任せられます。
一般の管理委託では、賃貸管理会社はオーナー様に代わって、入居者管理や建物管理を行います。業務範囲を柔軟に選べるうえ、契約期間の縛りも比較的緩やかなので、初心者からベテランまで多くのオーナー様に選ばれているもっとも一般的な管理方法です。
サブリース(一括借上)
サブリースとは、賃貸管理会社(またはサブリース専門会社)がオーナー様から物件を一括して借り上げ、第三者の入居者様に転貸する形態です。
サブリースの特徴
サブリース契約とは、オーナー様とサブリース会社の間でマスターリース契約(転貸を前提とした賃貸借契約)を結び、物件を一括で貸し出す仕組みです。その後、サブリース会社が借主として入居者様を募り、入居者様との間に賃貸借契約を結びます。
この形態では、入居者様にとっての貸主はサブリース会社であり、オーナー様は直接の貸主ではなくなるというのが大きな特徴です。入居者対応や契約手続きは、基本的にすべてサブリース会社が行います。
オーナー様は、物件をサブリース会社に貸し出す代わりに、毎月一定の賃料を受け取れます。金額は満室想定家賃の8〜9割程度に設定されるのが一般的で、差額はサブリース会社の運営費や利益に充てられます。
サブリースのメリット

サブリース最大の特徴は、空室の有無にかかわらず、オーナー様が毎月一定の家賃収入を得られるという点です。
物件が満室でも空室でも、契約で定めた保証賃料がサブリース会社から支払われるため、空室リスクや家賃滞納リスクが軽減されます。とくに空室の出やすいエリアにある物件や、ローン返済の比重が大きい方にとっては、収支が読みやすくなる魅力的な仕組みといえます。
また、運営面での負担が少ないのもメリットです。基本的にはサブリース会社が入居者募集から日常管理までを担ってくれるため、オーナー様は日々の賃貸管理業務に関わる必要が基本的にはなくなります。遠方の物件を所有している方や、賃貸経営が初めての方にも向いている管理方法です。
さらに、入居者様との契約主体はサブリース会社となるため、クレーム対応や滞納督促なども原則としてサブリース会社側で完結します。オーナー様に直接苦情が寄せられるケースも少なく、精神的な負担が軽くなるのも安心材料の一つです。
サブリースのデメリット
空室リスクを抑えられるサブリースですが、契約前に知っておきたい注意点やデメリットもあります。
収益面では、受け取れる家賃が相場より低くなる点に注意が必要です。サブリース会社が空室や滞納のリスクを引き受ける代わりに、オーナー様への保証賃料は満室想定家賃の8〜9割程度に設定されます。この保証賃料も永続するわけではなく、市況の悪化などを理由に、契約の途中で家賃が減額される可能性も考えておきましょう。
サブリース契約ではサブリース会社が借主という立場になるため、オーナー様の都合での契約解除は極めて難しいのが特徴です。解約のために、高額な違約金を求められる事例もあります。万が一、サブリース会社が倒産すれば保証家賃は途絶え、入居者様のいない物件だけが手元に残る、という最悪の事態も考えられます。
安定収入という魅力の裏にあるこうしたリスクを理解したうえで、契約書の家賃見直しや解約ルールをよく確認し、利用するかどうかを慎重に判断することが大切です。
サブリースについての詳細は、以下の関連記事・改善事例もご参照ください。
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マンションの賃貸管理の主な業務内容
賃貸マンションの管理業務は、具体的なタスクごとに細分化できますが、大きく2つのカテゴリーに分けられます。「入居者管理(ソフト面)」と「建物管理(ハード面)」です。
入居者管理(賃貸管理のソフト面)
入居者管理とは、その名の通り賃貸物件の入居者様に関わるあらゆる業務の総称です。契約や金銭のやり取り、入居者間の調整など、人を対象とする管理業務を指します。
入居者募集(リーシング)業務

入居者募集(リーシング)業務は、空室を埋めて賃貸経営を安定させるためにも非常に重要な基本業務の一つです。
主な内容としては、物件情報の整理と広告戦略の立案が挙げられます。周辺相場や物件の特徴をふまえて家賃・初期費用などの条件を設定し、写真や間取り図を用意して、住宅情報サイト(SUUMO・HOME‘S・at-home)をはじめとする各種媒体に情報を掲載します。
広告を出したあとは、入居希望者や不動産仲介会社からの問い合わせ対応、内見調整などが必要です。案内時には物件の魅力を丁寧に伝えることが求められ、状況に応じて、リノベーションや設備追加の提案を行う場合もあります。
申し込みがあった場合は入居審査に進みます。申込者の収入や雇用状況、保証人の有無、過去の滞納履歴などをチェックし、将来的なトラブルのリスクを最小限に抑えるための判断を行います。
審査通過後は、重要事項説明書の作成と説明、賃貸借契約の取り交わし、契約時初期費用の預かり、鍵の引き渡しまでが入居者募集の業務です。
入居者募集についての詳細は、以下の関連記事・改善事例もご参照ください。
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家賃回収業務
家賃回収業務とは、毎月の家賃などを入居者様から確実に集め、オーナー様へ送金する一連の業務です。
主な内容は、各入居者様の入金状況を確認し、万が一の滞納発生時には督促を行います。初期の電話連絡にはじまり、書面での通知、内容証明郵便の送付や保証会社への請求手続きといった、状況に応じた段階的な対応が求められます。
毎月集金した家賃からは管理手数料などが差し引かれ、収支明細と共にオーナー様の口座へ送金されるのが基本的な流れです。また、契約時に預かった敷金・礼金の管理も重要な役割です。敷金は退去時の原状回復費用に充てるため、賃貸管理会社が預かり、退去時に精算代行するケースもあります。
家賃回収業務についての詳細は、以下の関連記事・改善事例をご査収ください。
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トラブル・クレーム対応業務

賃貸経営には、入居者間の騒音問題から設備の故障まで、大小さまざまなトラブルやクレームがつきものです。これらにオーナー様に代わって適切に対応することも、賃貸管理会社の重要な業務の一つです。
その対応内容は多岐にわたります。水漏れや鍵の紛失といった入居者様の生活に直結する緊急トラブルには、24時間体制での迅速な対応が必要です。また、騒音やゴミ出しマナーに関する入居者間の苦情に対しても、第三者である賃貸管理会社が間に入り、冷静な解決を促す役割を担うことになります。
エアコンや給湯器といった設備の不良に関しても、速やかな修理業者の手配や交換の段取りが必要です。入居者満足度を維持するため、迅速な対応が欠かせません。
家賃滞納者への督促も賃貸管理会社の業務であるというのは前述のとおりですが、度重なる督促に応じないケースでは、弁護士と連携し、契約解除や建物明け渡し訴訟の手続きを進める場合もあります。
トラブル・クレーム対応についての詳細は、以下の関連記事・改善事例もご参照ください。
【トラブル事例】賃貸管理会社に求められる対応力とは? 起こりうるリスクも紹介
大家さんが直接賃貸管理する際の業務とは?よくあるトラブルや改善事例も紹介
更新契約・退去業務
賃貸借契約には契約期間が定められており(普通借家契約で2年が一般的)、満了時には契約更新または退去の手続きが必要になります。これらも管理業務の一つです。
更新の場合は、満了日の半年前を目安に入居者様へ契約更新の意思確認を行い、必要に応じて契約書を作成・締結します。あわせて更新料の請求や、保証会社・火災保険の更新も手配します。
退去の申し出があった際は、解約日を確定したうえで、退去日までの段取りを組みます。入居者様へは、荷物の撤去や鍵の返却など、契約上の注意点も事前に案内しなければなりません。退去当日は立会いを行い、室内の損耗をチェック。経年劣化と過失を見極めて、原状回復費用の負担を判断します。
敷金精算が必要な場合は、計算書を作成して入居者様に説明し、差額を返金します。
その後、原状回復工事やクリーニングを速やかに手配。空室期間を短くするため、退去連絡を受けた時点から募集準備を進め、入居中に内見を受け付けることもあります。
建物管理(賃貸管理のハード面)
建物管理とは、マンションやアパートそのものの建物や設備を適切に維持・管理する業務を指します。賃貸管理の「ハード面」を担い、物件の資産価値を保ち、入居者様に快適な住環境を提供するために欠かせない業務です。
建物管理についての詳細は、以下の関連記事・改善事例もご参照ください。
賃貸経営に欠かせない建物管理とは? 信頼できる賃貸管理会社を見極めるポイント
賃貸物件のメンテナンスを解説!賃料と空室改善に寄与する建物管理
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日常清掃

日常清掃は、マンションの共用部分や敷地内を清潔に保つために行う定期的な業務です。
エントランスホールや廊下、階段、エレベーターホール、郵便受け周辺、駐輪場・駐車場、建物のまわりなどを、それぞれの利用状況に応じて掃き掃除や拭き掃除で整えます。清掃頻度は、場所によって毎日から週1回程度までさまざまで、建物の規模や管理体制に合わせて調整するのが一般的です。
ゴミ置き場については、収集日後の清掃や床の水洗い、臭い・虫の対策などを行います。入居者様に対して、ゴミ出しルールの掲示などでマナーを周知するのも重要な業務です。
植栽エリアや建物まわり、境界部分なども清掃対象です。落ち葉やゴミを取り除き、雑草が伸びすぎないよう手入れを続けることで、敷地全体の見た目をきれいに保ちます。
設備管理
マンションにおける設備管理は、共用部分と専有部分の設備を点検・修繕し、居住者の快適な生活を維持する業務です。
共用設備には、エレベーター、火災報知機、消火器、給水ポンプ、貯水槽、排水ピット、照明、自動ドア、機械式駐車場など、法令で点検が義務付けられているものが多く存在します。賃貸管理会社は、点検計画の作成、専門会社の手配、点検への立ち会いを行います。
建築基準法にもとづくエレベーターや外壁の定期報告、消防計画の届け出といった行政手続きも賃貸管理会社の担当です。
専有部分の不具合に関しては、給湯器、エアコン、水栓、換気扇、インターホンなどの修理を入居者様からの連絡にもとづき手配します。老朽化した設備については、使用状況に合わせて計画的に交換します。
設備管理についての詳細は、以下の関連記事・改善事例もご参照ください。
マンションの修理・修繕内容とは?賃貸経営におけるトラブル防止の対応方法
【事例付き】マンションの原状回復工事で収益改善!相場と工事内容を解説
【大家さん必見】補助金活用する賃貸物件のリフォーム! 改善事例も紹介
建物本体の維持管理
賃貸管理会社の仕事には、建物そのものを健全な状態で保ち、資産価値を落とさないようにする物理的メンテナンスも含まれます。専門スタッフが定期的に物件を巡回し、外壁の微細なひび割れ、タイルの剥がれ、屋上防水の劣化、共用部分の摩耗など、時と共に生じる劣化の兆候を早期に発見します。
点検結果にもとづいて、将来的な修繕箇所、時期、必要な費用を記載した「長期修繕計画」を作成します。事前に工程表を作成することで、資金繰りの問題を軽減し、計画的に修繕を進めることが可能になります。
計画にしたがって、外壁の補修や屋上防水のやり替えなどを発注します。工事期間中は、品質と安全性の確認も管理会社の役割です。
大規模修繕の準備

通常、マンションの資産価値を維持するためには、12年から15年周期で大規模修繕を実施します。工事項目は、外壁塗装、屋上・ベランダの防水工事、手すりなど金属部分の再塗装、給排水管やガス管の交換など多岐にわたり、高所作業や設備の停止を伴うため、費用も高額になります。そのため、毎月の修繕積立金を計画的に積み立て、工事費用を確保できる体制を整えておきます。
準備段階では、建物の状況を点検し、劣化具合に応じて工事項目と優先順位を決定します。次に、複数の施工会社から見積もりを取り、内容と費用を比較検討し、最適な工事内容を決定します。工事が近づいたら、工程表を作成し、騒音や通行規制について事前に告知し、関係者の理解を得ることが重要です。工事中は、安全管理と品質の確認を徹底し、予定外の追加費用が発生しないようにします。
事前に資金計画と工程をきちんと立てておけば、不測の事態にも対応でき、建物を維持し続けることができます。
マンションの賃貸管理会社選定のポイント
賃貸経営の成否は、どの賃貸管理会社に管理を委託するかに大きく左右されます。マンションオーナーにとって、管理会社は物件運営を支える重要なパートナーになるため、より良い会社を慎重に選ぶ必要があります。
管理戸数は多いか
まず、賃貸管理会社の管理戸数(管理物件数)に着目しましょう。管理戸数が多い会社は、多くのオーナーからの信頼を得ていると考えられ、豊富な経験から得たノウハウが期待できます。
ただし、単に数が多いだけでは良いとは言えません。自身の物件タイプに合った実績があるかを重視すべきです。一棟マンションの管理を任せるのであれば、一棟物件の管理実績が豊富な会社が望ましいでしょう。区分マンション1室の管理であれば、区分マンションに強い会社が適しています。
物件所在地の地域事情に詳しいかどうかも重要です。地元の賃貸市場の家賃相場や入居者様のニーズ、競合物件の状況などを把握していないと、適切な運営戦略を立てることは難しいでしょう。管理戸数を見る際は、その会社が自身の物件と同じエリアを十分にカバーしているかを確認しましょう。
賃貸住宅管理業者であるか
2020年に賃貸住宅管理業法が成立・施行されました。これにより、管理戸数が200戸以上の賃貸管理会社は、原則として「賃貸住宅管理業者」として国土交通省への登録が義務付けられています。選定候補の賃貸管理会社がこの登録を行っているかを確認しましょう。
登録事業者となるためには、一定の財産基盤や業務管理体制、専任の賃貸不動産経営管理士の設置など、法律で定められた基準を満たす必要があります。したがって、登録を受けている会社は、国が認めた一定の信頼性を持っているといえます。
登録事業者の調べ方
賃貸住宅管理業者の登録状況は、国土交通省が公開しているデータベースで検索できます。
国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」で、会社名や所在地で検索すると、登録を受けている場合は登録番号・登録年月日・有効期限などが表示されます。管理戸数200戸以上でありながら検索にヒットしない場合は、未登録ということになります。
登録業者であれば、賃貸管理会社のウェブサイトにもその旨が記載されているはずです。会社の概要ページもあわせて確認しましょう。
※出典:国土交通省「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」
管理業務範囲を明確にしているか
管理会社ごとに提供する管理業務の範囲や内容は微妙に異なります。契約前には、家賃回収、クレーム対応、緊急対応、清掃、設備点検など、どこまでを基本業務として含み、どこからがオプションなのかを確認することが大切です。
信頼できる賃貸管理会社は、業務範囲と費用についてきちんと説明し、書面(提案書や管理委託契約書案)に明記してくれます。あいまいな説明で「それは契約に含まれていると思ったのに…」という行き違いがないよう、疑問点は遠慮なく質問しましょう。
管理手数料の相場
賃貸管理会社に支払う管理手数料(管理委託料)の相場は、一般的に「家賃の5%程度」と言われます。1室の月額家賃が10万円なら、1室あたり5,000円が目安ということです。ただし実際には委託業務範囲によって3%〜8%程度まで幅があります。
なお、管理手数料は法律で上限が定められているわけではなく、オーナー様と賃貸管理会社の合意で自由に設定できます。複数社の見積もりを取り、サービス内容と手数料率を見比べてみるのがおすすめです。
入居者募集力はあるか

空室を早く埋められるかどうかは、賃貸管理会社選びの要ともいえます。
注目したいのは、地域の家賃相場や入居者様の嗜好をどれだけ細かく把握しているかです。周辺物件と比較した家賃設定や、ファミリー向けか単身向けかといったターゲットに合わせた設備提案など、入居者様目線で改善策を示してくれる会社ほど心強い存在になります。
情報発信力も注目ポイントです。住宅情報サイト(SUUMO・HOME‘S・at-home)への掲載はもちろん、自社サイトやSNS、さらに動画内見といったオンライン施策を組み合わせている賃貸管理会社は、物件情報を広く素早く届けられます。ITを味方につけているかどうかは、成約スピードに直結すると考えてよいでしょう。
自社だけでなく、地域の不動産仲介会社と連携して紹介ルートを広げられるかも重要です。レインズ(指定流通機構)への登録や物件資料の定期配布、地場仲介会社への訪問営業を地道に続ける会社ほど、客付けの裾野が広がります。
担当者にコミュニケーション能力があるか

賃貸管理会社を選ぶ際は、実際に物件を担当する営業・管理担当者の人柄や対応力にも目を向けたいところです。問い合わせへの返答が早いかどうかは、オーナー様の安心感に直結します。メールや電話に素早くリアクションがある担当者なら、緊急のトラブル時も頼りになるでしょう。
賃貸管理には専門用語や複雑な制度が多いものの、それらをかみ砕いて説明し、質問にも丁寧に答えてくれる担当者は信頼できます。難しい話をわかりやすく置き換えられる力は、入居者様対応の場面でも生きてきます。
オーナー様の要望や悩みに耳を傾けるヒアリング力も欠かせません。一方的なセールストークで、オーナー様の話を遮るようなタイプは避けたほうが無難です。双方向で会話ができ、こちらの意図を的確に汲み取って提案してくれる担当者のほうが、長期の物件運営では成果を上げやすいでしょう。
最終的には、人と人との相性や誠実さも判断材料になります。「この人なら長期的なパートナーとして信頼できる」という直感も大切にしてみてください。
トラブル対応力があるか
賃貸経営では滞納や入居者様同士のトラブル、水漏れなどの緊急事故がいつ発生してもおかしくありません。緊急事態にどう向き合うかという「対応力」は、賃貸管理会社選びで欠かせない視点です。
具体例として、家賃滞納への対応内容を確認しましょう。何日遅れで督促を始め、どの手段と頻度で連絡するのか、保証会社とどのように連携するのか、何ヶ月滞納で法的措置に移行するのか、など具体的なフローを示せる会社であれば安心です。
騒音や近隣トラブルが起きた際、賃貸管理会社が主導して早期解決へ動けるかが大切です。苦情対応マニュアルを備え、解決実績を示せる会社であれば問題が長引きにくいでしょう。水漏れや火災などの緊急事態に備えて、24時間対応のコールセンターや駆けつけサービスを持つかどうかも確認しておきたいところです。
会社に信頼性と安定性はあるか
賃貸管理会社の経営基盤も、見落とせない判断材料となります。長期間にわたり物件を任せる以上、突然の倒産や不祥事でオーナー様が被害を受ける事態は避けたいところです。
まずは設立年数や資本金、従業員数など基本的な企業情報を確認します。創業からある程度の年月を重ね、実績を積んでいる会社のほうが安心感は高まります。
財務面の健全性も重要です。上場企業や上場グループであれば決算資料が公開されますし、非上場でも信用調査会社のレポートや自己資本比率などから、、おおまかな財務体質を把握できます。
ネット上の口コミやオーナー仲間からの評判も情報源になります。対応遅延や送金トラブルといったネガティブな話が頻発している会社は避けたほうが無難です。不動産業界団体に加盟しているかどうかも確認しておきましょう。
賃貸管理会社の選び方についての詳細は、以下の関連記事・改善事例もご参照ください。
賃貸経営に欠かせない建物管理とは? 信頼できる賃貸管理会社を見極めるポイント
【必読】賃貸管理会社の選び方!運用益と出口戦略を見据える賃貸管理
賃貸管理会社の探し方と6つのポイント!賃貸経営の収支を握る管理とは
【賃貸管理会社】大手と地域密着型のどっちがおすすめ?選び方とは
賃貸管理会社の選定基準は手数料の安さか、収益性を高める管理か
まとめ

マンションの賃貸経営を成功させるには、適切な賃貸管理が欠かせません。一棟マンション経営であれ、区分所有マンション1室の賃貸であれ、自宅マンションのリロケーションであれ、オーナー様には賃貸管理業務が発生します。
マンション経営を成功させるうえで、頼れる賃貸管理会社との連携は欠かせません。実際、優れた賃貸管理会社が関わることで空室が解消されたり、トラブルを未然に防げたりした例は少なくないのです。
賃貸管理について不安や解消したい問題がありましたら、【リロの不動産】にお気軽にご相談ください。マンション経営の強力なパートナーとして、皆様の賃貸経営を全力でサポートいたします。ぜひ一度お問い合わせください。
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この記事を書いた人
秋山領祐(編集長)
秋山領祐(編集長)
【生年月日】昭和55年10月28日。
【出身地】長野県上田市。
【趣味】子供を見守ること。料理。キャンプ。神社仏閣。
【担当・経験】
デジタルマーケティングとリブランディングを担当。
分譲地開発のPMや家業の土地活用などの経験を持つ。
リノベした自宅の縁の下に子ども達の夢が描かれている。
