賃貸アパートの値段はいくら? 一棟買いのメリットと不動産投資ローンの基本を解説

2024.07.23

不動産投資を検討するうえで、気になるポイントの一つが物件の値段です。賃貸アパートの一棟買いにチャレンジするためには、融資を活用するとしてもまとまった資金を用意する必要があり、相場を知っておかなければいけません。

この記事では、新築アパートと中古アパートの相場がどのくらいなのか、統計のデータをもとに紹介します。あわせて物件を見極めるポイントや、不動産投資ローンの種類と融資を受けるためのポイントも解説しますので、ぜひ参考にしてください。

新築アパート価格の相場は

まずは、新築アパートの価格がどのくらいの相場なのかみていきましょう。新築の場合はアパートの建築費用に加え、土地代も別途かかってくる場合があります。なお、アパート経営全般に関しては以下の記事も参照ください。

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新築アパートの建築費用

アパートの建築費用を知るためには単価(平米単価、または坪単価)を把握し、その単価に床面積をかけて建築費用の概算を出すことが可能です。

政府統計の総合窓口「e-Stat」では、国土交通省が統計を取っている建築物着工統計調査の結果が公開されています。建築物着工統計調査では建築物の使用目的や構造別に棟数と床面積合計、工事費予定額が算出されているため、そこから構造別の単価を計算することが可能です。統計では戸建て住宅、共同住宅の区別はされていませんが、参考となる居住専用住宅のカテゴリーでみてみましょう。

2022年度の統計によると、例えば木造の居住専用住宅の床面積合計は4,450万9,508平米、工事費予定額は7兆8,736億5,029万円でした。ここから計算した木造建築物の平米単価は、17.68万円です。同様に各構造別の単価を計算すると、鉄骨鉄筋コンクリート造の平米単価が26.26万円、鉄筋コンクリート造の建築物は27.69万円、鉄骨造の建築物は27.1万円となります。

この平米単価をもとに500m2(おおよそ単身者向け20戸)のアパート建築を想定すると、以下のようになります。

木造 8,845万円
鉄骨鉄筋コンクリート造 1億3,135万円
鉄筋コンクリート造 1億3,845万円
鉄骨造 1億3,550万円

出典:e-Stat「建築着工統計調査 建築物着工統計」

土地を購入する場合は土地代もかかる

前項の費用は、あくまでもアパートの建築費用のみの金額です。アパート経営を検討している方の中には、利用されていない土地があったり、相続で受け継いだ土地を持て余していたりするケースもあるでしょう。もともと土地を所有していれば、初期費用を抑えることができます。

しかし、土地を自分で所有していない場合は、土地の仕入れ費用も別途かかってきます。地価は場所によって千差万別です。土地を選ぶ際はアパート経営に向いているところを選ぶ必要がありますが、鉄道駅に近い場所や利便性の高い地域の地価は当然高くなります。初期費用のうち土地代が占める割合も高くなりますので、土地の選定は極めて重要になります。

中古アパート価格の相場は

では、中古アパートを購入する場合の相場はどうでしょうか。次に収益物件情報サイトの健美家 ( けんびや )の情報をもとに中古アパート価格の相場を紹介します。また、収益物件の売買については、以下の記事を参照ください。

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全国平均

2023年の築年別一棟アパートの価格をみてみると、築10年未満の物件は1億1,452万円でした。築10年から20年未満の物件では2割ほど下がり、8,411万円です。築20年以上になると5,312万円となり、築10年未満の物件に比べると半額近くにまで下がっています。全体的に10年前の2013年から、ほぼ右肩上がりに上昇しています。

一都三県

関東の一都三県に絞って価格をみてみると、築10年未満の物件価格は1億2,006万円で1億円を超えています。築10年から20年未満の物件では9,240万円、築20年以上の物件は5,866万円でした。東京都とその周辺地域という立地から、一都三県の物件はどの築年数でも全国平均よりも高い価格になっています。

東京23区

さらに東京の23区にまで範囲を狭めてみると、築10年未満の物件で1億4,157万円、築10年から20年未満の物件でも1億円を超える1億1,379万円となっています。さすがに築20年以上の物件では価格が下がるものの、それでも全国平均の築10年から20年未満の物件価格8,411万円とそれほど違わない8,266万円です。

札幌市

北海道の県庁所在地、札幌市の一棟アパートの価格は、築10年未満で1億円を超える1億313万円です。築10年から20年未満の物件価格は7,266万円でした。都心以外の大都市では築20年以上の物件でも5,000~6,000万円台を保っている地域があるものの、札幌市では5,000万円を切り、4,308万円まで下がっています。

仙台市

仙台市では築10年未満の物件でも、全国平均の築10年以上20年未満の物件より少し高い程度で8,764万円程度でした。築10年から築20年未満の築年数では、それほど大きく価格は下がっておらず、7,035万円です。ただし、築20年以上の物件になると、築10年未満の物件に比べて半額以下の3,781万円まで下がっています。

横浜市

横浜市の築10年未満の一棟アパートは9,699万円で、1億円を少し下回る価格です。10年以上20年未満の物件では2,000万円ほど価格が下がり、一棟当たり7,461万円になっています。ただし、築20年以上の物件では札幌市が4,000万円台、仙台市が3,000万円台まで下がっているのに比べると、5,394万円で少し高めです。

名古屋市

名古屋市は中部地方の主要都市ですが、築10年未満の一棟アパートでも7,682万円、築10年以上20年以上の物件も6,713万円で、それほど高くありません。ただ、築20年以上の物件になると2023年は7,328万円となっており、逆に築10年以上20年未満の物件よりも高くなっています。名古屋市ではほかの年をみても、築20年以上経っても下がりにくい傾向です。

大阪市

大阪市では築10年未満の一棟アパートは9,586万円で、横浜市の価格を少し下回っている程度です。ただ、横浜市では10年以上20年未満の物件で7,000万円台になっているのに対し、大阪市では5,359万円まで下がっています。築20年以上の物件では4,263万円で、こちらも横浜市よりも1,000万円程度低い価格です。

福岡市

福岡市の築10年未満の一棟アパートは8,381万円で、大阪市よりも1,000万円以上低い価格でした。しかし、築10年以上20年未満の物件になると6,946万円、築20年以上の物件では5,302万円となっています。福岡市では築年数が浅い物件は大阪市よりも低めの相場ですが、逆に築年数が経過した物件では高くなっている傾向です。

出典 健美家「収益物件 市場動向 年間レポート2023年」

アパート一棟買いにおける不動産投資ローンのメリットとは

アパートを一棟買いする際の資金調達方法としては、不動産投資ローンがあります。不動産投資ローンを利用するメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。

レバレッジ効果がある

不動産投資ローンは自宅の購入などで利用する住宅ローンとは違い、一棟アパートのような投資用の物件を購入したり建築したりするときに使えるローンです。自己資金の範囲内で一棟アパートを購入することもできますが、金融機関からの融資を受けられれば自己資金では購入できない高額の物件にも手が届きます。

不動産投資ローンを利用すれば現金で購入するよりも投資効率がよく、自己資金だけではかなわない高い収益を上げられます。これがてこの原理であるレバレッジ効果です。例えば1,000万円の現金を元手に、表面利回り8%の物件を購入したとしましょう。この場合、年間の家賃収入は80万円だけです。

一方で1,000万円を頭金にして金融機関から融資を受け、価格が5倍の5,000万円の物件を購入すると、元手は同じ1,000万円でも年間の家賃収入は5倍の400万円が見込めます。(ただし、ここからローンの返済を行います。)以上のように、レバレッジを効かせることができれば、資産形成のスピードアップができます。

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自己資本利回り(CCR)

金融機関からの融資を受け、レバレッジを効かせて不動産を運用した場合の指標として、「自己資本利回り」があります。不動産投資では年間家賃収入を物件価格で割って求められる表面利回りや、年間家賃収入から諸経費を引いた金額を物件価格で割って求める実質利回りなど、さまざまな指標があります。

中でも英語の頭文字を取ってCCR(Cash On Cash Return)とも呼ばれる自己資本利回りは、年間キャッシュフローを自己資本で割って求められる数字で、融資を活用した投資の指標として便利なものです。

計算式は以下のようになります。

自己資本利回り(%)=年間キャッシュフロー÷自己資本×100

自己資本利回りは自己資本、すなわち投資した現金に対して、どれくらいのリターンがあるかの投資効率を数値にして把握することができます。

アパート経営と利回り、資金計画については以下の記事を参照ください。

【総集編】アパート経営の利回りの目安は?不動産投資の指標と注意点

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自己資金が少なくても投資ができる

物件価格や諸費用に対して自己資金が足りないケースでも、融資を活用して収益物件を購入できるのが不動産投資のメリットです。魅力的な物件は、いつ市場に出てくるか分かりません。融資を柔軟に活用できれば、自己資金が足りないばかりに投資を諦めてしまう機会損失を防ぐことができます。

自己資金が少なくても投資が可能になる不動産投資ローンは、適切なタイミングで適切な物件を購入するためにも重宝するものです。不動産投資において、融資戦略が最重要といっても過言ではないゆえんです。

自己資金を手元においておくことができる

仮に一棟アパートを購入できるほど自己資金に余裕があったとしても、金融機関からの融資を受けることをおすすめします。融資を活用することで、手元には余剰資金として現金を用意しておくことができます。

手元に余剰資金を残しておくことで、別の有望な収益物件が出てきたときに購入資金にあてることも可能です。また、一棟アパートのような収益物件を所有していれば、突発的な修繕が必要になることもあります。

プライベートでもいつ、何が起こるか分かりません。病気やケガなどで仕事ができなくなったり、失業したりしても、手元に資金を残しておけば急な出費に対応できます。不動産投資のリスクに対応するため、生活を守るためにも、ある程度の資金を手元に残しておくことは重要です。

不動産投資ローンの種類

不動産投資ローンにはどのような種類があるのでしょうか。不動産投資ローンはアパートローンとプロパーローンの2種類に大別することができます。また、不動産投資ローンに関しては以下の記事も参照ください。

アパートローンを上手に利用するコツと注意点|住宅ローンとの違いは?

不動産投資ローンと住宅ローンの違い!審査基準や注意点を徹底解説

アパートローン

アパートローンは、不動産投資の中でも一般的なローンの一つです。自宅の購入などで利用する住宅ローンとは違って収益物件の購入費用・建築費用を融資の対象とし、保証会社の保証が付いています。

アパートローンは一棟アパートや一棟マンションのように収益物件を一棟丸ごと購入する際はもちろん、区分マンションのような一室だけを購入する際にも利用することが可能です。アパートローンも住宅ローンもどちらも金融機関が提供している融資商品ですが、融資対象の性質が異なるため、金利や審査基準には違いがあります。

アパートローンは金融機関でローン商品としてパッケージされており、「パッケージ型」と呼ばれています。後述するプロパーローンとは違い、金利や限度額、融資期間などの条件があらかじめ決まっている金融商品です。

プロパーローン

プロパーローンとは保証会社を通すことなく、金融機関が独自の判断で融資を行うローンです。金利や融資期間もそれぞれ個別に決定していくため、「オーダーメイド型」と呼ばれています。都市銀行のほか、地方銀行や信用金庫、信用組合などが取り扱っています。

一般的にプロパーローンはアパートローンに比べて金利が低く、融資限度額も設定されていないところがメリットです。保証会社を通さないことで、保証料もかかりません。

保証会社を通さない分、融資を受けるための審査は厳しく、時間もかかります。アパートローンでは一般的な会社員や公務員などにも広く門戸を開いていますが、プロパーローンは事業者やある程度の規模の資産を有している方でないと利用できない可能性があります。

不動産投資ローンで融資を受けるポイント

アパートの一棟買いでは、融資が下りるかどうかが大きなポイントです。そのポイントについて、以下で挙げる点があります。

購入者の属性

自宅の購入に利用する住宅ローンでは、主に購入者の収入や勤務先、健康状態などの個人属性をもとに、返済負担率なども考慮して審査が行われています。不動産投資ローンでも、購入者の属性が重視されることには違いありません。直近の年収や勤務している会社の事業内容、勤続年数などが審査されることになります。

不動産投資ローンでは保有資産額や与信枠なども審査の項目です。住宅ローンの申し込みと同様、不動産投資ローンでも申し込み時に団体信用生命保険(団信)への加入を義務付けている金融機関もあります。

住宅ローンでは主に年収と勤務先を重視しているのに対し、不動産投資ローンでは保有資産額のほうがより重視されます。現金化しやすい資産や担保価値が高い資産を保有していれば、審査では有利になりやすいでしょう。ただし、審査の基準は明確に公開されているわけではありませんし、金融機関によって審査内容の違いもあります。

物件の価値

不動産投資ローンでは、購入する物件の収益性や担保価値も重視されます。安定した家賃収入を得られる物件であれば、返済が不能になるリスクもそれだけ下がるからです。住宅ローンでは購入者がローンを返済できるかどうかが重要視される一方、不動産投資ローンではこれから購入する物件から将来どのくらいの収益を得られるのか、事業性・採算性が重視されます。

具体的には一棟アパートの物件価格や築年数、残存耐用年数などの担保力が審査のポイントです。さらに立地の賃貸需要や客付けのしやすさなど、収益物件としての力も考慮されます。ケースによっては、建物や設備が適切に維持管理されているかどうかを確認されることもあります。

まとめ

不動産投資は金融機関による融資の活用によって、レバレッジをかけて投資効率を上げるところに醍醐味があります。しかし、レバレッジをかけるということは、運用が失敗したときには大きな損失を被るということを意味します。賃貸経営の失敗を避けるには、オーナー様の賃貸経営に伴走する賃貸経営のノウハウを蓄積した賃貸管理会社を味方につけることが重要です。

【リロの不動産】は長年蓄積してきたデータやノウハウをもとに、賃貸経営をサポートしています。アパートの一棟買いを検討しているオーナー様は、信頼と実績の【リロの不動産】におまかせください。

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この記事を書いた人

秋山領祐(編集長)

秋山領祐(編集長)

【生年月日】昭和55年10月28日。
【出身地】長野県上田市。
【趣味】子供を見守ること。料理。キャンプ。神社仏閣。
【担当・経験】
デジタルマーケティングとリブランディングを担当。
分譲地開発のPMや家業の土地活用などの経験を持つ。
リノベした自宅の縁の下に子ども達の夢が描かれている。