サラリーマン・会社員が副業で始めるアパート経営 メリット・デメリットから成功の秘訣まで

2025.03.02

アパート経営は忙しいサラリーマンにとって本業との両立がしやすい副業の一つです。いったん経営が軌道に乗ると、それほど時間を割いて取り組む必要がない点がビジネスとしての魅力となっています。

また、所得税・住民税の節税、相続税対策にも優れており、何よりも安定的な定期収入を期待できるので、老後資金の備えとしても優秀です。

しかし、これからアパート経営を始めようかお考えの方にとって、不動産投資は未知の世界と思えるかもしれません。

そこで、今回は、サラリーマンの方がアパート経営を始めるにあたり、まず最初に知っておくべき基礎知識やメリット・デメリットを解説します。

▼この記事の内容

●「アパート経営」とは、アパート一棟を建築または購入し、部屋を賃貸することで入居者から家賃を得るビジネスモデル

●副業禁止の会社にお勤めの場合、所得税法上の「事業規模」未満であればほとんどの会社で認められるが、就業規則は確認要

●サラリーマンがアパート経営を始めるメリットは主に6つ(①アパートローン審査が通りやすい ②安定した副収入が得られる ③本業に影響しない ④インフレ対策になる ⑤所得税・住民税の節税になる ⑥相続税対策ができる)

●注意すべきリスクは4つ(①空室 ②家賃滞納 ③老朽化・修繕 ④金利上昇)

●サラリーマンは本業の給与所得と不動産所得を損益通算することで節税対策になる

アパート経営の基礎知識

アパート経営は数ある不動産投資の一つです。アパート経営がほかの不動産投資と比べてどのような特徴があるか、基礎的な情報と合わせて整理しましょう。

アパート経営とは

「アパート経営」とは、アパート一棟を建築または購入し、部屋を賃貸することで入居者から家賃を得るビジネスモデルです。不動産業界ではいわゆる「一棟もの」と呼ばれており、不動産投資の中でももっともポピュラーな手法の一つといえます。

アパートには中古と新築の2種類がありますが、そのどちらにおいても需要の高い立地にあるかで明暗が分かれます。築古の中古アパートであっても、交通アクセスに優れ、生活環境に恵まれた立地にあれば、安定した高い入居率を維持できるでしょう。

とくに中古アパートはすでに賃貸実績が明らかになっているうえ、新築と比べると価格も安く売り出されているため、サラリーマンのような個人投資家にとっても参入しやすい市場の一つとなっています。

中古アパート経営についてはこちらの記事でもう少し細かく解説しています。ぜひこちらも参考にお読みください。

失敗しない中古アパート経営とは? メリット・リスク・対策方法を解説

アパート経営とマンション経営の違い

不動産投資で「一棟もの」といえばアパートかマンションのどちらかになります。アパートとマンションの違いはイメージしやすいですが、実は法的に明確な線引きはありません。一般的にRC造やSRC造、重量鉄骨造で3階以上のものを「マンション」、それ以下の規模で木造、軽量鉄骨造のものを「アパート」と分類しています。

RC造やSRC造は頑丈な素材や構造を組む都合上、一般的なアパートと比べると建築費用は高額です。当然、全体的な投資規模はマンションのほうが大きいため、金融機関からの融資額や売却額なども大規模となります。

マンション経営は建築から客付け、建物管理などを含めた経営そのものが複雑で、ビジネスとしての難易度は高い傾向です。

一方、アパート経営はマンション経営と本質的な部分は同じではあるものの、経営規模がはそれほど巨大な規模ではありません。個人投資家にとっても比較的取り組みやすい不動産投資といえます。

収益物件の種類からみた不動産投資の特徴については、こちらの記事も参考にしてください。収益物件の種類ごとに確認するべきポイントやリスク対策が違ってきます。

【種類別】収益物件からみた不動産投資の特徴!購入時の確認ポイント

【保存】不動産経営の種類や収支を学ぶ!リスク回避する成功の秘訣とは?

収益物件購入時の注意点とは? 収益物件の種類とリスクへの対策を解説

アパート経営と戸建て賃貸経営の違い

初心者を中心に人気となっているのが「戸建て賃貸経営」です。戸建て賃貸経営とは、戸建て住宅を第三者に賃貸して家賃収入を得る方法のこと。最近は相続で受け継いだ住宅や、立地のよい中古住宅を安く購入し、リノベーションやリフォームを実施して賃貸に出す手法などが注目されています。

購入金額自体も数百万円規模から始められるので、融資なしでも取り組めるフットワークの軽さが魅力です。

ただし、戸建て賃貸は物件を賃貸に出すまでのプロセスに思ったよりも手間がかかります。物件選びはもちろん、リフォーム・リノベーションの判断や業者の選定など、初期段階でオーナー様自ら関わる業務が多く、物件が市場に出るまでは副業感覚で取り組むのは難しいといえます。

また借り手がつかないと収入が一切ない点もデメリットで、リスクヘッジが取りづらい弱点があります。1軒当たりの収益は少額となるため、投資を軌道に乗せるには複数の物件を所有するなど、経営規模を徐々に拡大する必要があるでしょう。

どのような不動産投資のスタイルがご自分に向いているか、もう少し詳しく知りたい方はこちらの記事もぜひお読みください。

あなたにおすすめの不動産投資はどれ? 成功ポイントを徹底解説

戸建てと並んで人気のマンションのワンルーム投資についてもこちらでご紹介しています。

ワンルームマンション投資のメリットとリスク!無理しない投資戦略

副業禁止の会社でアパート経営はできるか

政府が「働き方改革」の一環で企業の副業解禁を推進するなど、社会的には副業への理解が広がってきました。ただ、会社によってはまだまだ「副業禁止」の職場が多いのが実情です。

副業禁止の会社にお勤めの場合はアパート経営は一切できないのでしょうか。

「事業規模」未満なら副業に該当しない

結論からいうと、不動産投資の規模が小さければ「副業」に該当せず、ほとんどの会社で認められる傾向にあります。

具体的には、所得税法上の「事業規模」にあたる

●独立した室数がおおむね10以上
●独立家屋おおむね5棟以上

の2つの基準を下回る規模であれば問題ないでしょう(※)。念のために会社に確認を取っておくことをおすすめしますが、仮に会社に連絡していない場合でも副業禁止規定に抵触することはほとんどありません。

ただし、事業規模が小さい場合であっても、アパート経営に関する維持管理を全て自分で行う自主管理方式を採用していると、本業に支障があると会社側から問題視されることがあります。

※出典:国税庁 事業としての不動産貸付けとそれ以外の不動産貸付けとの区分

「事業規模」以上は申請を行う

一般的に「事業規模」にあたる「独立した室数がおおむね10以上」または「独立家屋おおむね5棟以上」未満であれば副業に該当せず、ほとんどの会社で副業を認められます。

しかし、「事業規模」を上回る規模となる場合は、収益状況や物件の取得事情などに関わらず会社側に報告し、確認を取っておくほうが無難です。会社の規定や判断によりますが、会社側へきちんと申請することでアパート経営が認められるケースもあります。もちろん、申請時には本業に支障のないことを伝えることが大事です。

なお、アパート経営が副業に該当しない規模であっても、給与以外で年間20万円以上の所得がある場合は確定申告が必要です。副業していることを会社に秘密にしたいなどの理由で確定申告を怠ると、国税庁から「脱税」の疑いをかけられてしまう恐れがあるので、十分ご注意ください。

収益物件を相続した場合

親などがアパートを経営していて、その賃貸物件を相続(または生前贈与)することになった事例も増えています。このように自分の意思と関係なくアパート経営をすることになった場合、たとえ事業規模が大きいケースであっても会社側がアパート経営を容認してくれる事例がほとんどです。

ただし、ここでも本業に支障をきたす状況かによって判断が分かれる点に注意しましょう。マンション一棟のように事業規模が大きいケースでは、管理委託の状況次第で副業と認められるかの判断が分かれます。

就業規則を確認する

副業禁止規定に関しては、法的ルールとして明確なものはありません。あくまでも会社と副業でアパート経営をする方との関係性で決まる問題となります。

そこで重要になるのが会社・従業員間の取り決めを規定した「就業規則」の内容です。副業禁止についても会社の就業規則で細かく定められていることがほとんどですので、必ず就業規則の中身を確認しておきましょう。

例えば一般的な副業ラインとされる「事業規模」の規定は、あくまで所得税法上の目安で法的拘束力はありません。副業禁止に抵触する基準かどうかは会社ごとに判断基準が異なることがある点にも注意してください。

サラリーマンがアパート経営を始めるメリット

サラリーマンにとってアパート経営は、数ある副業のなかでもとても相性がよいビジネスです。サラリーマンが副業でアパート経営を始めるメリットや強みについて、順番に解説しましょう。

アパートローン審査が通りやすい

アパート経営を始めるにあたって、まず必要となるのが購入資金です。通常、アパート購入資金には住宅ローンと同様に金融機関からの融資を活用します。いわゆる「アパートローン」と呼ばれるもので、このアパートローンを組めるかどうかがアパート経営における最初の難関の一つといえます。

ここで強い味方となるのが「会社員」という身分です。社会的な身分が安定しており、継続的な収入を見込める会社員は、金融機関から高く評価される傾向にあります。とくに上場企業や大手企業にお勤めの場合だと、多額の貸付額であっても審査に通ることが多く、アパート経営を始めるにあたってかなり有利です。

安定した副収入が得られる

アパート経営はいったん軌道さえ乗れば、長期にわたって安定した家賃収入を期待できます。収入源となる家賃価格は生活に根ざした価格付けがなされるため、収入が経済動向・景気動向にあまり左右されることがない点も強みです。

また、アパート経営は複数の部屋から収益を得るビジネスモデルですので、リスクヘッジも取りやすく、空室が生じてもほかの部屋からの家賃収入でカバーできます。一時的に収入が減ることはあっても収益がゼロになってしまうことは考えにくいといえます。一定の入居率を目標に手堅く経営を継続すれば、本業以上の収入を得ることも難しくはないでしょう。

ちなみに国税庁の発表によると、不動産投資による所得額(不動産所得)のボリュームゾーンは、年間300~500万円が不動産所得を得た方全体の17%、500~1,000万円が23.3%となっています(※)。

比較的収益規模の大きいアパート経営だと年間300~500万円以上の不動産所得を得る方も多くいます。サラリーマンにとってアパート経営は、本業を超える収益を目指すことのできるビジネスチャンスといえるでしょう。

※出典:国税庁「申告所得税標本調査 2022年度」

どの程度の投資規模でどの程度の不動産所得を得るかイメージしたい方は、以下の記事で詳しく解説していますので、こちらもぜひ参考にお読みください。

アパート経営の年収と暮らしとは?アパート経営の収入を上げる方法

投資用マンションの基本! 保有戸数別の収益と不動産投資の成功ポイント

本業に影響しない

アパート経営の実務は実に多岐にわたります。物件の選定はもちろん、金融機関からの借入交渉、物件の買付け、さらに入居者募集活動に建物管理・入居者管理など、業務の種類と量は実に膨大です。

こうした経営に関する業務を独力で行うのは、アパート一棟経営においてはまず不可能です。そこで通常はプロの不動産賃貸管理会社に管理を委託し、経営実務を一任することになります。

いったん信頼できる賃貸管理会社に管理を委託することができれば、オーナー様は普段あまりアパート経営に関わる必要がなくなります。重要な経営判断やトラブル時などを除けば、ほぼアパート経営を自動化した状態です。

ここがほかの副業と大きく異なるところで、本業と両立しやすい点はサラリーマンの副業にとって理想的といえるでしょう。

なお、賃貸管理会社選びはアパート経営の成功をかなり大きく左右するものなので、優れた会社をどのように選ぶかについて大まかな知識を学ぶ必要があります。

賃貸管理会社選びについては以下の記事で詳しく解説していますので、こちらもぜひ参考にお読みください。パートナーの能力次第で、アパート経営の収益は大きく変わります。

賃貸経営を成功に導く不動産管理とは? 信頼できる管理会社の選び方を解説

【必読】賃貸管理会社の選び方!運用益と出口戦略を見据える賃貸管理

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インフレ対策になる

不動産は実物資産ですので、インフレに強い資産とされます。世界的なインフレ状況にある昨今、不動産は投資先としても人気が高まっており、景気の状況に関わらず価格は上昇傾向です。

インフレーションとは、あらゆる物の値段が上昇することにより、相対的にお金の価値が下がる状況を指します。インフレが起こると、現金・預金の価値が目減りしてしまいますが、不動産のような実物資産の価値そのものは変わりません。したがって、インフレ状況下では不動産価格はむしろ値上がり傾向となります。

さらにアパート経営で追い風となるのが、借入金の負担が相対的に下がる点です。お金の価値が下がるということは借入額元本の価値も下がるということ。これを「債務者利得」と呼びますが、不動産投資家に与えられたメリットです。インフレ時は家賃相場も上がる傾向にあるため、返済比率を下げられる可能性があります。インフレはアパート経営などの不動産投資にとっては好材料です。

所得税・住民税の節税になる

アパート経営などの不動産投資で得た家賃収入は、税法上の「不動産所得」となります。不動産所得は家賃収入から必要経費などを差し引いた金額です。所得税・住民税は家賃収入ではなく、あくまでも不動産所得を対象に課税額が決まります。

不動産所得=家賃収入-必要経費
(必要経費には物件の購入費や維持管理費用、保険料、減価償却費用などが含まれます)

不動産所得は総合課税ですので、ほかの所得と合算して計算することができます。サラリーマンの場合だと給与所得と不動産所得を合算した金額で課税対象額が決まる仕組みです。

ここでポイントとなるのが、不動産所得は帳簿上の赤字にすることが比較的容易という点です。不動産所得の赤字は給与所得の黒字と相殺できるため、課税所得を圧縮でき、所得税・住民税の節税が可能になります。

副業収入を得ることで節税につながる仕組みについての詳細は、こちらの記事でも解説しています。アパート経営と税金の仕組みについて知りたい方はぜひご一読ください。

家賃収入は副業収入なの? 節税しながら賃料を得る不動産投資とは

相続税対策ができる

不動産は相続税対策にも強い資産です。

相続が発生すると、相続財産全体を相続税評価額として計上し、その評価額に対して相続税がかります。現金の場合はその金額全てが相続税評価額となりますが、不動産は現金とは違い評価額を下げることが可能です。

そもそも不動産の評価額は、土地は路線価、建物は固定資産税評価額をもとに計算されますが、固定資産評価額は不動産の実勢価格よりも大幅に低い価格設定です。一般的に土地(路線価)は時価の60~70%(公示価格の80%)、建物(固定資産税評価額)は建築費の50~70%ぐらいとされます。

つまり、同じ3,000万円の資産を現金で相続すると相続税評価額は3,000万円のままですが、不動産であれば相続税評価額を70%ほどの2,100万円ほどに抑えることができるのです。

相続税評価額が低くなっても、本来の土地や建物の価値は3,000万円のままですので、不動産は節税効果の高い資産といえます。アパートの建つ土地は他人に貸している不動産なので、さらに税制上の評価を下げることも可能です。

アパート経営で注意すべきリスクと対策法

アパート経営はあくまでも「事業」です。したがって、大きな収益を得る可能性のある一方、ビジネス上のリスクも存在します。

賃貸経営に関する代表的なリスクについてはこちらの記事で詳しく解説していますので、気になる方はご一読ください。

賃貸経営の成功法を伝授!代表的なリスクと6つの成功ポイントとは

ここではアパート経営で注意すべきリスクと対策方法について4つに絞って解説します。

空室リスク

「空室リスク」とは、物件が空室となり家賃収入を得られなくなってしまうリスクのこと。収入にダイレクトに響くため、不動産投資ではいかに空室を出さないかがビジネス上の課題となります。

空室が出るもっとも大きな原因とされるのが、立地条件です。アパート経営のような投資物件で立地選定を誤ると致命的なケースも考えられます。

立地選びに関しては、利便性が良く、賃貸需要があるエリアを中心に選ぶことがもっとも重要です。ただし、単に人気の地域だからといって満室になるとは限らないのが立地選びの難しさといえます。

人気のある立地では競合物件も多く存在するため、入居者様の取り合いとなりがちです。せっかく需要のある地域を選んだのに価格競争に巻き込まれてしまい、想定した収益目標に届かないなどの事例も見受けられます。

また、アパート経営においては、「入居者募集対応」「仲介対応」「管理対応(入居者管理/建物管理)」「設備・工事対応」の『4つの空室対策』を意識することが重要です。

当サイトでもあらゆる角度から空室リスクについて解説していますので、気になる方はぜひ参考にお読みください。空室対策への備えが、アパート経営成功へのカギです。

空室の原因を解決する『4つの空室対策』とは?14種類の手法を徹底解説!

家賃滞納リスク

「家賃滞納リスク」とは、家賃を滞納する入居者様が出てしまうリスクのこと。入居者様との間で話し合いがこじれると、最悪の場合は建物明け渡し訴訟まで発展するなど、膨大な人的・金銭的コストが発生してしまいかねません。

家賃滞納リスクへの対策は、きちんと支払い能力のある入居者様と契約することに尽きます。そのためには、入居審査についてはしっかりと行うことが大事。空室を恐れるあまり家賃設定を低く設定し過ぎてしまうと、入居者様の属性がかえって悪くなることもあります。集客とのバランスを取りながら適切に家賃設定をすることも大切です。

また、入居者様に家賃保証会社への加入を促すことも有効な対策でしょう。社会の変化により連帯保証人を引き受けてもらえない入居者様が増えているので、入居希望者のボリュームゾーンを広げる意味でのマーケティング効果も期待できます。

滞納家賃回収の改善事例については、以下の個別事例も参照してください。

滞納家賃回収の改善事例

老朽化・修繕リスク

「老朽化・修繕リスク」とは文字どおり、アパートの経年劣化によって修繕・設備費用が発生するリスクのことです。一般的な木造アパートの場合、建物本体部分と室内設備の両方でそれぞれ費用がかかります。

築年数の浅いうちは部分的な修繕で済みますが、おおよそ築12~15年目以降になると大規模修繕が必要になります。築20年以降になると、給排水管の交換工事なども視野に入ってくるでしょう。当然、修繕工事費用は数百万円規模の大きな金額となります。

修繕費用の問題はアパート経営において避けては通れない問題です。したがって、修繕費用を抑えるために日常的な建物管理をしっかり行い、できるだけ深刻な劣化の発生を防ぐことが重要です。経営初期の段階から長期的な修繕計画を立て、資金計画にあらかじめ組み込んでおくことも有効な対策となります。

老朽化・修繕リスクの改善事例については、以下の記事も参照してください。

【大家さん必見】補助金活用する賃貸物件のリフォーム! 改善事例も紹介

【事例付き】マンションの原状回復工事で収益改善!相場と工事内容を解説

リフォーム(内装・水回り・設備)の改善事例

リノベーション(間取り変更・価値向上)

大規模修繕

金利上昇リスク

「金利上昇リスク」とは、アパートローンの金利が上昇することで当初の予定より月々の支出が大きくなってしまうリスクのことです。特に問題となるのは変動金利のローンを組んだ場合です。

日本は長らく超低金利時代が続いてきましたが、ここ最近の物価上昇を受けて金利上昇のシナリオが見えてきています。2024年3月に日銀による異次元緩和政策が終了し、実に17年ぶりの利上げが実施されました。7月には追加の利上げも行っており、すでにアパートローンの変動金利を引き上げた金融機関も出始めています。

変動金利が上がると支払い利息分が増えます。超低金利を想定して長期返済を前提とした計画したキャッシュフローだと、変動幅次第で返済計画が破綻するリスクが生じかねません。

金利上昇に対しては、固定金利への切り替えやローンの借り換えなどが主な一般的な対策方法です。ただ、あまりリスクを取らず手堅く経営を続けたい場合は、自己資金を多めに用意することで返済額そのものを縮小する、返済期間を短くするなどの方法も有効となります。

サラリーマンがアパート経営で節税する方法

アパート経営は節税効果の高いビジネスモデルです。サラリーマンは本業の給与所得と不動産所得を損益通算することで、課税額を圧縮するかたちで節税対策になります。

所得税・住民税節税の仕組み

アパート経営で得た不動産所得によって、給与所得を含めた収入全体に対する所得税・住民税の節税につなげることができます。その基本的な仕組みについて解説しましょう。

不動産所得は給与所得と損益通算できる

副業でアパート経営をするサラリーマンの収入源は、主に給与所得と不動産所得の2つです。これらは総合課税の扱いとなり、合算して課税所得を計算できます。

ここでポイントとなるのが、不動産所得で生じた赤字分が給与所得の黒字分を相殺できる点です。このように1年間に得た利益と損失を合算して課税対象額を計算することを損益通算といいます。

不動産投資では減価償却費が大きくなるので、実際にはお金が出ていくわけではないにもかかわらず帳簿上赤字になるため、不動産所得を赤字決算とできます。損益通算によって、給与所得も含めた全体の課税所得を圧縮することができ、結果として大幅な節税につながります。

ちなみに不動産所得については、給与所得のあるサラリーマンも別途確定申告を行わなければなりません。サラリーマンの納税は会社側で源泉徴収することで所得税や住民税を支払いますが、確定申告で損益通算があった場合、払い過ぎた税金は後から還付されます。

確定申告での青色申告特別控除

不動産所得についての確定申告で一定の条件をクリアすると「青色申告特別控除」を受けられます。

青色申告特別控除の対象となると条件は

①事業的規模で不動産の貸し付けを行っていること
②帳簿記帳を複式簿記方式で行っていること
③貸借対照表・損益計算書などを確定申告書に添付して期限内に提出すること

の3つです。条件を満たすと次のようなメリットを得ることができます。

青色申告特別控除による税法上のメリット

●青色申告特別控除65万円を受けられる
●損失分の繰り越しや繰り戻しができる(純損失分の繰り越しは次年度から3年間可能)
●家賃滞納分などの経営上の赤字部分を経費計上できる
●親族などの給与支払いなども経費計上可能
●少額備品購入費(取得単価1個当たり30万円まで)年間300万円までは全額損金算入できる

手続きが面倒くさそうといったイメージのある青色申告ですが、副業でアパート経営を続けるうえでのメリットは大きいといえます。経営のできるだけ早い段階から帳簿の付け方などを準備しておきましょう。

減価償却は帳簿上の支出

不動産投資では減価償却という会計処理によって、帳簿上の赤字幅を大きくすることができます。減価償却とは建物部分の購入額を法定の耐用年数で分割し、帳簿上の必要経費として計上する勘定科目です。

仮に建物部分1,000万円の新築アパートを購入した場合、法定耐用年数は22年ですので、1年あたり46万円を減価償却費として計上できる計算になります。中古の場合は築年数が法定耐用年数を超えているかで計算方法が変わり、以下のような数式を使います。

●築年数が法定耐用年数を超えるケース:「法定耐用年数✕20%」
●築年数が法定耐用年数を超えていないケース:「(法定耐用年数-経過年数)+経過年数✕20%」

減価償却費が節税対策において優れているのは、実際には支払いが済んでいる費用にもかかわらず、帳簿上の赤字分として必要経費に計上できる点です。建物の規模によってはかなり大きな金額になりますので、課税所得分の大幅な圧縮のために活用することができます。

減価償却について詳細に記載した記事は以下を参照ください。

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相続税の節税

アパート経営は相続税対策としても有効です。その大きな理由は、相続税の課税評価額の計算方法にあります。

土地・建物などの不動産の場合、相続税は不動産の実勢価額ではなく「相続税評価額」を基準に課税されます。この相続税評価額は時価に比べて大幅に低い価額です。とくにアパートなどが建つ土地は「貸家建付地」として評価されるため、更地よりも評価額は低い傾向にあります。

さらに建物部分の相続税評価額は建築費用の約60%程度まで抑えられるのが一般的で、条件を満たせば「小規模宅地等の特例」など、さらに課税評価額を圧縮できる制度を利用することも可能です。

アパート経営においては「債務控除」を利用できる点も見逃せません。

債務控除とは相続財産からアパートローンなどで借入れた金額を控除分に計上できる仕組みのことをいいます。アパートローンの残債分は控除対象となりますので、場合によっては数百万円、数千万円単位で相続税評価額を圧縮することができます。

このように、アパート経営においては相続税対策に有効な仕組みが多数用意されており、多額の相続財産を保有する方が節税目的でアパート経営を始める事例も少なくありません。

サラリーマンでアパート経営に向いている人

たとえ副業であったとしても、アパート経営は不動産投資ビジネスであることに変わりありません。成功すれば大きなベネフィットを得られる一方、事業として真剣に向き合わなければ手痛い失敗となるリスクも存在します。

そこで、アパート経営に向いているサラリーマンはどんな方か、成功しやすいオーナー様の特徴を3つの点を挙げて解説しましょう。

安定した収入と貯蓄がある人

安定した収入と貯蓄があると、アパート経営では有利になる場面が多いです。

アパート経営を始めるにあたって金融機関からの融資を利用しますが、その与信審査では会社員という安定した収入を継続的に得られる属性はプラスに働きます。一定の自己資金があると借入額そのものを小さくでき、キャッシュフロー上でも余裕を持った返済計画を組めるでしょう。アパート経営に回せる貯蓄がある方は、与信力と借入リスクの軽減の点で有利です。

アパート経営のメリットの一つに、所得税・住民税の節税になる点が挙げられますが、節税メリットを得られるのは課税所得900万円(年収にすると1200万円)を超えたあたりからになります。

減価償却を活用した節税のスキームを先述してきましたが、所有するアパートを売却する際に課税される譲渡所得税を考慮する必要があります。売却時の譲渡所得を計算するときには、取得費からこれまで計上した減価償却費を差し引く必要があるので、譲渡所得がふくらみ譲渡所得税が高額になるのです。

物件を売却したときには譲渡所得に課税されますが、その税率が長期譲渡所得(所有期間が5年超)で20.315%、短期譲渡所得(所有期間5年以内)で39.63%となります。

つまり、毎年納税する所得税・住民税がこの税率を上回る所得の方に節税メリットが生まれるのです。課税所得900万円超の方から所得税の税率は33%以上、住民税と合わせると43%以上となりますので、このラインから節税メリットがあると判断できます。

また、このことから、課税所得900万円以下の方は節税をメインとするのではなく、収益性の確保をメインにしたアパート経営を目指すべきといえるでしょう。

不動産投資の勉強を熱心に取り組む人

サラリーマンでアパート経営に向いている方、2つ目の特徴はズバリ「勉強熱心な方」です。

アパート経営のような本格的な不動産投資では、幅広い分野での総合的な知識が必要となります。ざっと挙げてみるだけでも、金利などの金融知識、不動産に関連する法律知識、税制、建物に関する知識など、学ぶジャンルは実に多いです。

すべての分野で専門家クラスの知識を身に着ける必要はありませんが、専門家とも十分意思疎通できるレベルまでは勉強することが大事です。例えば賃貸管理会社や税理士などの専門家との相談内容に全くついていけない状態だと、経営者として適切な判断ができない恐れが出てきます。

実際の実務については賃貸管理会社に委託することになりますが、ここでも決して丸投げにはしない意識を持つことが大切です。重要な経営判断については自分で舵取りをする意識を持ち、自分の目が行き届くように経営を続けることが成功のカギとなるでしょう。

また、法制度の改正や経済状況の変化など、それぞれの分野で知識のアップグレードも必要となりますので、継続的に勉強し続ける姿勢も重要となります。

アパート経営を事業として取り組める人

アパート経営においては、信頼できる賃貸管理会社に実務を一任することができれば普段はそれほど時間や労力を割く必要がありません。

しかし、アパート経営に限らず不動産投資は「投資」というよりあくまでも「事業」です。物件の選定から経営が軌道に乗る初期段階、経営を続けるうえで起こるさまざまなトラブルに至るまで、あらゆる局面で継続的な経営判断を問われることになります。

したがって、自分から主体的に責任を持って事業に取り組むことができる方がアパート経営に向いているといえるでしょう。この点、会社に勤めていれば一定の給料が振り込まれるサラリーマンとは意識が異なる部分です。アパート経営を始めるなら、しっかりと「経営者」としての感覚も身に着けておかなければなりません。

将来的な収益確保の見通しを建てつつ、逆境に動じないメンタル、状況に合わせた柔軟性、根気よく取り組める姿勢など、経営者として求められる資質があるかでビジネスの成功は大きく左右されます。

不動産投資家としても歩みを始めようという方向けに、その意識付けや心構えなどを中心にこちらの記事で解説しています。ぜひ併せてご一読ください。

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アパート経営はサラリーマンの副業としてメリットが大きい

サラリーマンの副業としてのアパート経営は本業とのバランス、収益性、節税などの面でおすすめのビジネスモデルです。ただ、副業といってもアパート経営は本格的な不動産投資事業であり、ビジネスとしての成功には経営者としての能力、不動産投資に関する幅広い知識などが欠かせません。

さらに、本業との両立を成功させるためには、実務や経営サポートをしてくれる信頼ある賃貸管理会社とタッグを組むことが大切です。

【リロの不動産】は全国トップクラスの管理実績を誇り、全国で数多くのオーナー様の不動産投資事業を全力でサポートして参りました。もちろん、サラリーマンとの兼業で賃貸経営をされているオーナー様へのサポートも万全です。

アパート経営でお悩みの方や、ご興味のある方は、ぜひ一度【リロの不動産】までご相談ください!

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秋山領祐(編集長)

秋山領祐(編集長)

【生年月日】昭和55年10月28日。
【出身地】長野県上田市。
【趣味】子供を見守ること。料理。キャンプ。神社仏閣。
【担当・経験】
デジタルマーケティングとリブランディングを担当。
分譲地開発のPMや家業の土地活用などの経験を持つ。
リノベした自宅の縁の下に子ども達の夢が描かれている。