アパート経営の初期費用を節約!アパート経営のコスト削減術と実践事例

2025.06.29

アパート経営をはじめとした不動産投資では、物件購入時に初期費用がかかるため、自己資金を準備しておく必要があります。不動産投資の経験がない方にとっては、「自己資金はいくらくらい必要なのか」「どのような費用が発生するのか」など、不安な点が多いでしょう。

これからアパート経営を始めたいと考える方に向けて、本記事ではアパート経営にかかる初期費用の内訳や維持費、自己資金とローンのバランス、さらには費用を抑える方法について詳しく解説します。スムーズに準備を進められるよう、ぜひ参考にしてください。

▼この記事の内容

●アパート経営では初期費用を抑えるとともに、長期的に安定した運営を実現することが重要

●アパート購入時に必要な自己資金の目安は、物件価格の10~30%程度

●アパートを建築する際にかかる初期費用は「本体工事費」「付帯工事費」「諸費用」の3つに分類

●アパート経営でかかる維持費用には「管理委託費」「水道光熱費」「各種保険料」などが挙げられる

●状況に応じて初期費用を抑える方法を取り入れるのが効果的

目次

初期費用を抑えてアパート経営を成功に導くポイント

アパート経営では初期費用を抑えることも重要ですが、長期的に安定した運営を実現することが成功の鍵となります。まずは無駄なコストを削減しつつ、安定した収益を確保するためのポイントを紹介します。

以下に紹介する記事も、ぜひ参考にしてください。

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ターゲット層を絞る

アパート経営において、初期費用を抑えながら成功へ導く鍵の一つが、ターゲット層を明確にすることです。地域や周辺環境によって、求められる設備や間取りは異なります。

例えば、学生や単身者向けの物件であれば、インターネット無料や浴室乾燥機といった設備がアピールポイントになるでしょう。一方でファミリー層をターゲットにするなら、収納スペースの充実や防音性の高い構造などが求められます。

無駄な設備投資を避けて必要なものだけに費用をかけることで、入居者様の満足度を向上させられます。満足度が高ければ、家賃をやや高めに設定しても空室リスクを抑えられるため、安定した収益につながるでしょう。

下記の記事でも、アパート経営の成功の秘訣を紹介しています。ぜひご一読ください。

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長期的な収支計画を立てる

アパート経営では初期費用を抑えることも重要ですが、その場のコスト削減を優先しすぎると、結果的に割高になるケースもあります。例えば、安価な建材や設備を選んだことで頻繁にメンテナンスが必要になり、修繕費がかさんでしまうこともあります。さらに、長期的に運営する中で、賃貸ニーズの変化や建物の老朽化による家賃の下落、修繕費の増加などは避けられません。

通常想定できる経年変化に基づくシミュレーションを行い、初期費用を抑えることで将来発生しそうな追加費用も考慮した収支計画を立てることが大切です。長期的な視点を持つことで、無駄なコストを抑えつつ安定した賃貸経営を目指せるでしょう。

収支計画についての詳細は、以下の記事を参考にしてください。

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アパート経営をトータルサポートしてくれる賃貸管理会社を探す

アパート経営を成功させるためには、信頼できる賃貸管理会社の存在が欠かせません。特に初心者オーナー様は、目先のコスト削減ばかりに目を向けてしまい、結果的に運営上のミスを招くこともあります。

その点、実績のある賃貸管理会社をパートナーに選べば、経営面でも的確なアドバイスを受けられ、初期費用の最適な使い方を提案してもらえる可能性が高くなります。

例えば、長期的にコストを抑えるための設備投資や、無駄な支出を防ぐための賃貸市場の分析など、専門的なサポートを受けることも可能です。初期費用を抑えるだけでなく、安定した経営を実現するためにも、トータルサポートを提供してくれる賃貸管理会社を慎重に選ぶことが重要です。

賃貸管理会社の具体的な業務内容については、以下の参考記事をご覧ください。

■参考記事:賃貸経営サポートとは? 不動産投資の成功を左右する管理会社の実力

初期費用などアパート経営にかかる費用の節約改善事例

アパート経営では初期費用だけでなく、運営にかかるさまざまなコストを抑えることが重要です。ここでは、費用を削減しながら安定した経営を実現した具体的な改善事例を紹介します。効率的な資金活用のヒントを見つけましょう。

節約改善事例1:アパートで土地活用!竣工前に入居が決まる収益物件を建築

オーナー様がお手持ちの土地を活用してリーズナブルな建築費を実現しつつ、追焚給湯・エアコン・ペアガラス・TVモニター付インターホン・シャワー付き洗面化粧台など、充実した設備を備えたアパートが実現しました。

建築コストを抑えるため、駐車場のレイアウトを工夫し、土木工事を最小限に抑えています。竣工前に入居が決まり、オーナー様から非常に満足の声をいただきました。

事例:建築費をおさえたアパートで土地活用!竣工前に入居が決まる収益物件を建築

節約改善事例2:西川口1棟アパートの購入事例|不動産投資・投資用不動産・収益物件

本物件は「西川口駅」徒歩9分と表示されていますが、実際にはより人気の高い隣駅「川口駅」からも徒歩圏内という利便性が隠れた魅力です。駅近物件として価値が高いだけでなく、売り出し価格が相場よりも割安に設定されていたため、初期費用を抑えながら収益性の高い物件を確保する好機となりました。

さらに、条件のよさを評価してすぐに満額で買付を入れてスムーズに契約が成立。立地や価格に着目した物件選びで、費用を節約しつつ成功した事例です。

事例:西川口1棟アパートの購入事例|不動産投資・投資用不動産・収益物件

節約改善事例3:ライオンズマンション関内第弐の購入事例|不動産投資・投資用不動産・収益物件

駅近で開発が進む将来性のある地域に位置しているにも関わらず、相場より約100万円安く購入できた点が特徴です。節約分を活用し、フロアタイルやクロスの張替、IHコンロの交換、洗濯機置き場の新設といった内装工事にあてたことで、物件の価値を高めました。

結果として家賃を引き上げて募集でき、初期費用を抑えつつ将来的な収益性も向上させた成功事例です。価格交渉と適切なリフォームがポイントとなっています。

事例:ライオンズマンション関内第弐の購入事例|不動産投資・投資用不動産・収益物件

節約改善事例4:費用をかけずに入居促進!退去時のクリーニング費用も担保されて安心

アパート経営では、初期費用を抑えつつ入居率を上げる工夫が重要です。今回は「敷金0・礼金0」の条件を提案して入居者様の負担を軽減する一方で、退去時の原状回復費用については入居時にハウスクリーニング費用を預かることで対応し、オーナー様の負担を抑えています。

さらに、全国ネットの市場データを活用して家賃査定の精度を高め、競合物件と差別化を図った結果、余計なコストをかけずに入居が決まり、安定した賃貸経営につなげることができました。

事例:費用をかけずに入居促進!退去時のクリーニング費用も担保されて安心

節約改善事例5:管理費の削減と設備保証サービスにより安価で安心の賃貸経営を実現

長年同じ賃貸管理会社に依頼していたものの、経費削減や設備修繕についての提案がないことに不安を感じていたオーナー様。そこで、管理費削減と設備保証付きのワンコイン管理を提案しました。

管理費は月額21,000円から12,000円(設備保証料込)に削減し、エアコンやインターホンなどの設備の修理・交換費用は賃貸管理会社負担で、今後の修理代金に関するオーナー様の不安を解消しました。

事例:管理費の削減と設備保証サービスにより安価で安心の賃貸経営を実現

節約改善事例6:山手新築アパートの購入事例|不動産投資・投資用不動産・収益物件

横浜市山手は、港や市街地を望む丘陵地に位置する閑静な住宅街です。当アパートは2007年築で、JR線「山手」駅から徒歩6分という好立地にありながら、市場に一切出回らない希少物件でした。

近隣物件との差別化を図るためにガスキッチンとロフトを導入して、住環境を向上させ、初期費用と収益性をバランスよく確保しました。

事例:山手新築アパートの購入事例|不動産投資・投資用不動産・収益物件

節約改善事例7:マルチプレックス沼袋の購入事例|不動産投資・投資用不動産・収益物件

本物件は積算評価が購入金額を大幅に上回る優良物件で、利回り・銀行評価・立地の3拍子が揃っている点が特徴です。購入時、築2年にも関わらず銀行の積算評価は約1億8,000万円に達しており、資産価値の高さが評価されました。

アメリカのファンドが所有していた物件で売却を急いでいたため金融機関と密に連携し、買付が重なる中、契約から決済までわずか12日間で成立。迅速な行動と情報力で初期費用を抑えつつ、好条件での購入を実現した事例です。

事例:マルチプレックス沼袋の購入事例|不動産投資・投資用不動産・収益物件

節約改善事例8:モデルルーム作成から2週間で申込!予算を掛けずに少しの工夫で入居率向上

大学近くの物件で、繁忙期を過ぎると入居希望者様が少なくなるため、近隣物件との差別化を図る方法を検討しました。インターネット閲覧や内見申し込みを増やすため、モデルルームを作成。

家具やソファを設置し、部屋の明るさを強調してレイアウトを分かりやすくすることにより、部屋の魅力をアピールしています。モデルルーム作成から2週間で申し込みがあり、成約につながった事例です。

事例:モデルルーム作成から2週間で申込!予算を掛けずに少しの工夫で入居率向上

節約改善事例9:ファミール元住吉の購入事例|不動産投資・投資用不動産・収益物件

積算価格が売価を大幅に上回る、資産価値の高い希少なRC造物件です。土地約190坪の広さに加え、2DKの間取りや駐車場・駐輪場・バイク置き場も完備され、利便性と資産性を兼ね備えています。

駅から物件まで商店街が続き、近隣にはコンビニや薬局がある便利な立地も魅力です。市場に出回らない非公開物件だったため、お客様が迅速に決断したことで購入を成功させ、希少物件を適正価格で確保できました。

事例:ファミール元住吉の購入事例|不動産投資・投資用不動産・収益物件

節約改善事例10:調布RCマンションの購入事例|不動産投資・投資用不動産・収益物件

京王相模原線「京王多摩川」駅から徒歩11分の立地でありながら、特急停車駅「調布」駅へのアクセスも可能という利便性が特徴のマンションです。調布駅は新宿発の全ての電車が停車し、さらに京王線沿線には大学のキャンパスが多数あるため、学生を中心とした賃貸需要が安定しています。

自己資金配当率(CCR)が高いことも大きな魅力で、少ない自己資金で効率よく収益を得られる物件として、初期費用を抑えつつ収益性を高めた好事例です。

事例:調布RCマンションの購入事例|不動産投資・投資用不動産・収益物件

節約改善事例11:千葉一棟マンションの購入事例|不動産投資・投資用不動産・収益物件

JR線「千葉」駅から徒歩9分という好立地に加え、大学の近くに位置しているため安定した賃貸需要が見込まれる物件です。融資期間を30年確保でき、毎月の返済額を抑えてキャッシュフローもしっかり維持しています。

東南角地という条件が土地の資産価値を高めており、将来的に売却を視野に入れた出口戦略も立てやすい物件です。利便性・収益性・将来性のバランスが取れた好事例といえるでしょう。

事例:千葉一棟マンションの購入事例|不動産投資・投資用不動産・収益物件

節約改善事例12:大変だ! 一括借上の大手法人から解約の申し出が…

法人契約の解約で24世帯のアパートが空室となる中、学生向け物件としてリニューアルを計画。外壁塗装や内装リフォームで新築のように仕上げ、学生を対象に通学圏内の利便性をアピールしました。

幸い受験シーズンに近隣大学の住まい探し相談会で物件を紹介できたため、減収を最小限に抑えつつ新たな入居者様の確保に成功しました。

事例:大変だ! 一括借上の大手法人から解約の申し出が…

節約改善事例13:ライオンズマンション川崎第15の購入事例|不動産投資・投資用不動産・収益物件

同じマンション内の複数の部屋をまとめて購入する「バルク買い」による節約効果を活用したケースです。1Rマンション5室を一括購入することで価格交渉を行い、初期費用を抑えることに成功しました。

単身者の賃貸需要が高い川崎の京浜工業地域の中心という立地で、安定した需要と満室稼働が期待できる好条件の物件です。一括購入によるコスト削減と高稼働率が収益性向上につながりました。

事例:ライオンズマンション川崎第15の購入事例|不動産投資・投資用不動産・収益物件

節約改善事例14:ジョイフル常盤台第三の購入事例|不動産投資・投資用不動産・収益物件

総戸数26戸のうち20戸を2口に分け、10室ずつのバルク販売で投資効率を高めた成功事例です。物件は16~21㎡の分譲仕様のタイル張りマンションで、最寄り駅から徒歩3分という好立地が強みです。

区分マンション単体の購入と比較して、一度の取引で10室をまとめて購入するため投資スピードが向上し、効率的な資産形成が可能となりました。また、バルク購入によって1棟マンション購入と同等の低金利でアパートローンを組むことができ、資金調達面でもメリットを享受しています。

事例:ジョイフル常盤台第三の購入事例|不動産投資・投資用不動産・収益物件

節約改善事例15:西荻窪アパートの購入事例|不動産投資・投資用不動産・収益物件

外装だけでなく内装も随時リフォームされており、購入後の追加改修費用を抑えられるコンディションのよい物件でした。売主がインテリア業者の方で、デザイン性にも配慮されています。

各戸13㎡程度とコンパクトながら、全室ロフト付きで空間が有効活用され、満室稼働中という高い収益性を実現。人気の杉並区にある土地付き投資案件として購入できた点も大きな魅力であり、安定した運営が期待できる好事例です。

事例:西荻窪アパートの購入事例|不動産投資・投資用不動産・収益物件

アパート経営にかかる初期費用

ここからは、アパート経営にかかる初期費用について具体的に解説します。下に紹介する参考記事も、ぜひご一読ください。

■参考記事

アパート経営に必要な自己資金はいくら? 成功に導く出口戦略と資金計画

アパート購入費用はいくら? アパート経営の費用と注意点を徹底解剖

アパート購入と賃貸経営の流れ! アパート経営成功のポイント【保存版】

マンション経営に必要な初期費用の目安|事例で知る費用経費や注意点

アパート一棟買い・マンション一棟買いを数字で判断!一棟投資成功に向けたポイントを解説

アパート経営の初期費用

アパートを建築する際にかかる初期費用は、大きく「本体工事費」「付帯工事費」「諸費用」の3つに分類されます。それぞれの費用項目には具体的な内容や注意点があるため、それぞれ解説していきます。

アパート経営の初期費用①本体工事費

アパート経営の初期費用の中で最も大きな割合を占めるのが、本体工事費です。初期費用全体の7~8割を占める本体工事費には、次のような工事が含まれます。

●仮設工事:工事用の足場や仮設電気などの設置
●土木工事:土地の掘削や造成など
●基礎工事:建物の土台をつくる
●躯体工事:柱や梁など建物の構造部分を組み立てる
●外装工事:屋根、外壁、サッシなど
●内装工事:壁紙、床、設備の設置など

本体工事費の概算は「坪単価×延床面積(坪数)」で算出できます。建物の構造や規模、仕様によって費用が大きく変動し、耐久性やデザイン性の違いによっても異なるため、慎重な検討が必要です。

アパート経営の初期費用②付帯工事費

アパート経営の初期費用には、建物本体の費用に加えて付帯工事費が必要です。これらは本体工事費の約2割を占め、下記のとおり土地の状態や周辺環境によって必要な工事内容が大きく変動します。

●地盤改良工事:地盤が弱い場合、地耐力を確保するために行う補強工事
●整地工事:土地を平らにして、建設しやすい状態に整える
●インフラ工事:水道・電気・ガス・下水道の引き込み工事
●外構工事:駐車場の舗装、フェンスやアプローチの設置など
●設備取付け費用:エアコン、給湯器、インターホンなどの設置

なお、未整備の土地では土地関連の工事費が高額になる可能性があるため、注意が必要です。

アパート経営の初期費用③諸費用

アパート経営の初期費用には、建築費や付帯工事費に加えて諸費用が発生します。これらは初期費用全体の約1割を占め、以下のように融資手続きや登記などに関連する費用が含まれます。

●登録免許税:土地や建物の所有権を登記する際に納める税金
●司法書士報酬:登記手続きを依頼する際に支払う報酬
●不動産取得税:不動産を取得した際にかかる税金
●印紙税:売買契約書や工事請負契約書に貼付
●ローン事務手数料:融資を利用する際に金融機関に支払う
●損害保険料:火災保険、地震保険など
●仲介手数料:不動産会社を介して物件を購入する場合に発生する

状況によっては、土地の測量費や既存建物の解体撤去費なども準備しなくてはなりません。事前にどのような費用が発生するのかを把握し、余裕を持った資金計画を立てることが重要です。

アパートの建築費相場

アパートの建築費は、構造や規模によって異なります。構造別の坪単価相場は以下のとおりです。

●木造:約50万~100万円/坪
●鉄骨造:約60万~120万円/坪
●RC造(鉄筋コンクリート造):約120万~200万円/坪

2階建ての低層アパートで多く採用されているのが、コストを抑えやすく工期が短い木造です。例えば、延床面積60坪の2階建て木造アパートを建築する場合、建築費は3,000万~6,000万円程度が目安になります。

ただし、仕様や設備によっても費用は変動するため、土地の条件やターゲットに合わせた建築計画を立てることが重要です。また、土地を購入してアパートを新築するか、既存アパートを購入するかによっても、かかる費用は異なります。詳しくは以下の記事を参考にしてください。

■参考記事

土地購入から始めるアパート経営!土地選びの方法や注意点を徹底解説

賃貸アパートの値段はいくら? 一棟買いのメリットと不動産投資ローンの基本を解説

アパート経営に必要な自己資金・アパートローンの目安

アパート経営を始める際、ローンを利用して物件を購入するのが一般的です。自己資金の準備が難しい場合でも、適切なローンの利用により初期費用を抑えることができます。ここでは、アパート経営に必要な自己資金の目安と、アパートローンの利用に関するポイントについて解説します。

現金一括購入とローンを利用しての購入、それぞれのメリット・デメリットを知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

■参考記事:現金一括購入とローン活用によるアパート経営の違い!不動産投資判断のポイントを解説

アパート経営で必要な自己資金の目安

アパート経営を始める際に必要な自己資金の目安は、物件価格の10~30%程度です。多くの金融機関では、融資を受ける際に物件価格の10~20%程度の頭金を求められます。自己資金が多ければ借入額を少なくでき、月々の返済負担を軽減できます。

ただし、自己資金が少ない場合でも融資条件やローンの種類を工夫すれば、アパート経営をスタートすることは可能です。

アパートローンの目安

金融機関は、物件価格の70~80%までの融資を行うのが一般的です。アパートローンの審査では、申し込み者の職業や資産状況、不動産投資の実績、物件の担保価値などを総合的に考慮し、実際の融資額が決定されます。

例えば、土地を所有している方や複数の物件を所有しているオーナー様は、安定した収益が見込めるため審査にとおりやすく、融資金額が高くなる傾向があります。

アパートローンの種類

アパートローンの種類は、主に「提携ローン」と「プロパーローン」の2種類です。提携ローンとは、不動産会社と提携した金融機関が提供するローンで、審査が比較的とおりやすく、金利も抑えられる傾向があります。一方のプロパーローンは銀行が独自に審査・融資するローンで、金利は低めですが、審査基準が厳しく自己資金も多く求められます。

ほかの選択肢として挙げられるのが「ノンバンク」です。消費者金融や信販会社などのノンバンクは、銀行よりも審査が柔軟で融資スピードも速いのが特徴です。ただし、銀行に比べると金利は高めになります。

アパート経営を行う際の初期費用シミュレーション

木造2階建てアパートを購入する場合、所有している土地に新築するのと中古物件を購入するのとでは、初期費用にどのような違いがあるのかをシミュレーションしてみましょう。ここでは、軽減税率や特例などは考慮せず試算します。

【新築】

延床面積:50坪
建築費:60万円/坪
借入額:2,000万円
固定資産税評価額(50%で試算)
・建物:1,500万円

【中古】

物件価格:3,600万円(土地1,600万円+建物2,000万円)
借入額:2,000万円
固定資産税評価額(50%で試算)
・土地:800万円
・建物:1,000万円

項目計算式新築中古
本体工事費坪単価×延床面積3,000万円
付帯工事費本体工事費×20%600万円
物件価格
(土地・建物)
 ―            3,600万円
不動産取得税課税標準×税率(4%)144万円100万8,000円
印紙税 2万円
所有権保存登記課税標準×税率(0.4%)7万2,000円
所有権移転登記課税標準×税率(2%)36万円
抵当権設定登記借入額×0.4%8万円
融資事務手数料※定額制約6万円
損害保険
(火災・地震保険)
5年一括払い約40万円
仲介手数料成約価格(税抜)×3%+
6万円+消費税(10%)
125万4,000円
司法書士への報酬 約7万円
合計 約3,784万円約3,914万円

上記のように、アパート経営には多額の初期費用がかかります。実際に経営がスタートしてからどのくらいの収入を得られるのか、気になる方は多いでしょう。アパート経営の年収については、以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。

■参考記事:アパート経営の年収と暮らしとは?アパート経営の収入を上げる方法

アパート経営でかかる維持費用

アパート経営は初期費用だけでなく、運営中にも継続的にさまざまな維持費用が発生します。維持費用は物件の管理や修繕、税金などに関連しており、安定した経営を続けるためには計画的な支出が重要です。以下では、アパート経営にかかる主な維持費用の項目を紹介します。

アパート経営の維持費用①管理委託費

物件の管理業務を専門の賃貸管理会社に委託する場合、管理委託費が毎月発生します。アパートの管理業務は多岐にわたり、自主管理を選択するオーナー様もいますが、アパート経営の初心者はプロに任せたほうが安心です。

管理委託費の相場は家賃の5~10%程度が一般的で、経費としての計上が可能です。

管理委託と自主管理の違いについては、下記の記事を参考にしてください。

■参考記事:アパート経営の管理費って必要?自主管理と管理委託の大きな違いとは

アパート経営の維持費用②水道光熱費

水道光熱費も毎月発生する費用です。廊下や階段など共用部分の電気代、植栽への水やりや清掃時に使用する水道代などが含まれます。アパートの規模にもよりますが、月に1万円前後をみておくとよいでしょう。賃貸経営にかかる費用なので、経費としての計上が可能です。

アパート経営の維持費用③仲介手数料・広告料

仲介手数料は、入居者募集と契約業務を行った不動産会社に支払う成功報酬で、宅地建物取引業法により貸主・借主合わせて「家賃1ヶ月分」が上限と定められています。一方、広告料(AD)は、物件の募集を促進するためにオーナー様が不動産会社に支払う費用です。

通常の仲介業務以上の広告活動に対する費用であり、必ず発生するものではありません。仲介手数料は成約時に、広告料は入居者募集の依頼時に支払います。どちらも経費として計上できます。

アパート経営の維持費用④減価償却費

減価償却費とは、固定資産を購入した際にその取得費用を法定耐用年数に応じて分割し、毎年の経費として計上する会計上の仕組みです。

実際の支出は発生しませんが、経費として計上できるため、所得税や住民税の負担を軽減する節税効果があります。特に高額な物件ほど減価償却の影響は大きく、長期的な資金計画において重要な要素となります。適切に活用することで、アパート経営の収益性を高めることが可能です。

アパート経営の維持費用⑤保険料

アパート経営を行うにあたり、火災保険や地震保険への加入は大切なリスク対策です。火災保険料は、建物の構造や築年数、延床面積、所在地、契約期間、補償内容などによって大きく異なります。

なお、木造は鉄骨造などに比べて耐火性が低いため、保険料は高めです。安く抑えたい場合は1年契約ではなく、割引が適用される長期契約を選択しましょう。2025年現在、最長5年までの契約が選べます。

地震保険は火災保険の付帯であり、単独では加入できないので注意してください。そのほかにも、施設賠償責任保険や孤独死保険にも加入しておくと、もしものときに安心です。

アパート経営の維持費用⑥修繕費

アパート経営では、入居者様の退去時にクリーニングや修繕を実施するなど、定期的な維持管理が求められます。また、築10~20年ごとに屋根や外壁の塗装を含む大規模修繕が必要で費用も高額になるため、計画的な積立が重要です。

小規模な修繕は1万円程度から可能ですが、大規模修繕では100万円以上かかるケースもあります。適切な修繕を行って資産価値を維持することは、長期的な収益確保につながります。

アパート経営の維持費用⑦ローン返済費用

アパート購入にローンを利用した場合、毎月の返済が発生します。返済額は元本と利息に分かれますが、経費として計上できるのは利息部分のみです。そのため、利息負担を正確に把握し、資金計画を立てることが重要です。

また、ローンの返済期間や金利によって総支払額が大きく変わるため、借入時には慎重なシミュレーションを行う必要があります。適切なローン計画を立てて返済負担を抑えることで、安定したアパート経営が可能になります。

アパート経営の維持費用⑧税金

アパート経営において、維持費用の中でも税金は重要なポイントです。主な税金としては、固定資産税・都市計画税・事業税・所得税・復興特別所得税・住民税があります。

【固定資産税・都市計画税】
毎年1月1日時点の不動産所有者に課される税金です。税額は「課税標準額の1.4%」で、新築住宅には一定期間軽減措置が適用され、土地についても評価額の減額措置があります。同時に納付する都市計画税(税率0.3%)にも土地の軽減措置がありますが、建物には適用されません。

【事業税】
戸建てを10棟以上、またはアパートなどの部屋を10室貸し付けている場合には、事業的規模の賃貸経営とみなされて、事業税が発生します。税額は「経費控除後の不動産所得×5%」です。

【所得税】
累進課税方式のため、所得によって税率が異なります。

【復興特別所得税】
東日本大震災からの復興ための施策で、2037年まで「所得税額×2.1%」の復興特別所得税が発生します。

【住民税】
所得金額にかかわらず一律課税の均等割と、「所得金額×10%」で計算される所得割の合計額です。

アパート経営の初期費用を抑える方法

アパート経営を始める際、初期費用を抑えるためにはいくつかの方法があります。ここからは、費用を節約するための具体的な方法をいくつか紹介し、それぞれのポイントについて解説していきます。

なお、確定申告時には経費になるものとならないものを区別する必要があります。詳しくは以下の記事を参考にしてください。

■参考記事:不動産所得を節税するには?減価償却費など代表的な経費【一覧表】

アパート経営の初期費用を抑える方法①建築する場合は間取りや外観をシンプルにする

アパート経営の初期費用を抑えるためには、まず建築費用を削減することが重要です。具体的には、建物の形状や間取り、外観をシンプルにすることが効果的といえるでしょう。凹凸のない直線的な形状や、無駄のない間取りを選ぶことで、個性的なデザインに比べてコストを抑えることができます。

また、内装材や設備のグレードを下げることも費用削減につながりますが、入居率や家賃に影響を与える可能性があるため、慎重に判断することが大切です。シンプルながらおしゃれに見えるデザインを工夫し、無駄を省きつつ魅力的な空間をつくりましょう。

アパート経営の初期費用を抑える方法②不動産会社が売主の物件を選ぶ

仲介手数料を節約したい場合は、不動産会社が売主の物件を選ぶことをおすすめします。不動産会社が売主の物件は、売主と買主の間に仲介業者が入らないため、仲介手数料が発生しません。

仲介手数料は初期費用の中でも大きな割合を占めるので、経済的なメリットが大きいといえます。ちなみに、物件情報が掲載されているポータルサイトで取引態様欄に「売主」と記載されている物件が、不動産会社が直接販売しているものです。

アパート経営の初期費用を抑える方法③仲介手数料・司法書士報酬を値引交渉する

仲介手数料や司法書士報酬は、値引交渉が可能です。まず、司法書士報酬はある程度の相場はあるものの、司法書士が自由に金額を設定できます。

また、仲介手数料は宅地建物取引業法において上限が定められており、その範囲を超えない金額であれば問題ありません。値引交渉に応じてもらえるかどうかは定かではありませんが、少しでもコストを抑えたい場合は、積極的に相談してみるとよいでしょう。

アパート経営の初期費用を抑える方法④アパートローンを組む

アパートを現金一括で購入できる自己資金があったとしても、アパートローンを利用して購入するのがおすすめです。月々の返済は必要になりますが、ローンを組むことでレバレッジ効果を得られ、自己資金を効率よく運用できます。また、購入時に自己資金を手元に残せるため、不測の事態に対応しやすくなることもメリットです。

ただし、無理なローン返済はアパート経営のリスクにもつながるため、ゆとりのある計画を立てる必要があります。返済負担や金利などを慎重に検討し、自分にとって最適なアパートローンを選ぶようにしましょう。

アパートローンを上手に利用するコツと注意点については、下記の記事を参考にしてください。

■参考記事:アパートローンを上手に利用するコツと注意点|住宅ローンとの違いは?

アパート経営の初期費用を抑える方法⑤不動産会社の提携先の金融機関を利用する

アパート経営をはじめて行う場合、融資を受けられる金融機関を探すのはハードルが高いものです。不安な方は、複数の金融機関とのコネクションが強い不動産会社を選ぶとよいでしょう。

不動産会社が提携する金融機関を利用することで、融資条件が有利に進みやすく、低金利や柔軟な返済計画が提供される可能性があります。適切な金融機関を紹介してもらえるよう、物件探しを依頼する不動産会社に相談してみましょう。

アパート経営の初期費用を抑える方法⑥金融機関の評価が高い物件を選ぶ

金融機関の評価が高い物件を選ぶことも、アパート経営の初期費用を抑える方法の一つです。評価が高い物件を購入すると融資金額が増える可能性があり、結果的に頭金(自己資金)を抑えることができます。

頭金を少なくして自己資金を手元に残しておけば、アパート経営の突発的な支出にも柔軟に対応できるでしょう。また、金融機関の評価が高い物件は資産価値が高いともいえるため、将来的に売却することになっても有利な条件で取引できる可能性があります。

ただし、借入額が多くなると月々のローン返済額も増えるため、購入前に入念なシミュレーションを行うことが重要です。

アパート経営の初期費用を抑える方法⑦中古のアパートを購入する

完成済みのアパートを購入する場合は、新築よりも中古を選ぶとよいでしょう。新築に比べて中古は物件価格が安いため、購入時の初期費用を抑えられます。また、中古物件は利回りが高い傾向にあることも魅力です。

ただし、築年数の古い物件は建物の老朽化が進んでいることが多く、購入後に大規模な修繕が必要になれば予期せぬ出費につながります。中古アパートを選ぶ際は、購入前に築年数や管理状況をしっかり確認するようにしましょう。

中古アパート経営の詳細は、以下の記事を参考にしてください。

■参考記事

失敗しない中古アパート経営とは? メリット・リスク・対策方法を解説

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まとめ 初期費用も含めたトータルバランスを考慮してアパート経営を行うことが大切

アパート経営を始める際、初期費用は複数の項目にわたって発生し、自己資金も必要となります。さらに、アパート経営を続けるかぎり維持費用がかかり続けるため、コストカットの工夫が重要です。

初期費用を抑えるためには費用の内訳を理解し、どの部分でコスト削減が可能かを見極めることが大切です。建築費用の削減や不動産会社との交渉を通じて初期費用を抑えるなど、さまざまな方法があります。

また、入念な収支シミュレーションを行うことにより、長期的な収益を確保するための計画を立てることが可能です。【リロの不動産】では『4つの空室対策』を実施しており、賃貸経営のパートナーとしてトータルサポートを提供しています。はじめてのアパート経営に不安を感じるオーナー様は、【リロの不動産】までぜひお気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

秋山領祐(編集長)

秋山領祐(編集長)

【生年月日】昭和55年10月28日。
【出身地】長野県上田市。
【趣味】子供を見守ること。料理。キャンプ。神社仏閣。
【担当・経験】
デジタルマーケティングとリブランディングを担当。
分譲地開発のPMや家業の土地活用などの経験を持つ。
リノベした自宅の縁の下に子ども達の夢が描かれている。