アパート経営の費用完全ガイド|新築・建売・中古別に費用を徹底解説
2025.07.13
アパート経営は、安定した家賃収入が期待できる資産運用の一つですが、始めるには多額の資金が必要です。特に、初期費用や維持費用を正確に把握しないと、想定以上のコストがかかり、収益が圧迫される可能性もあります。
本記事では、アパート経営にかかる具体的な費用について解説します。アパート経営にかかる費用は、土地を所有しているか否かによって大きく変わります。土地を所有している場合と新たに購入する場合の違いについても解説し、新築・中古など土地活用の選択肢ごとにどのような費用が発生するのかを分かりやすくまとめます。
▼この記事の内容
●アパート経営にかかる費用の計算は、所有している土地にアパートを新築する場合、土地を購入してアパートを新築する場合、新築アパート商品を購入する場合、中古物件を購入する場合の4パターンがある。
●【土地あり・アパート新築】の建築費用は、本体工事費・建築費用・付帯工事費が主な内容。
●【土地なし・アパート新築】の建築費用は、以上の内容に土地の仕入れ費用が加算される。
●【新築アパート商品購入】の購入費用は、販売会社によってさまざまだが販売会社の利益が上乗せされる。
●【中古物件購入】の購入費用は、エリア、築年数、平米数によってまちまちになる。
●初期費用で建築・購入以外にかかる諸費用としては、不動産仲介手数料(土地・中古物件の購入の場合)、登記費用、印紙税、ローン手数料、不動産取得税、水道分担金、火災保険料などがある。
●維持費用としては、管理委託手数料、共用部の光熱水費、アパートローンの元本・金利、修繕費、大規模修繕積立金、税理士の報酬、通信費、固定資産税・都市計画税、所得税・住民税、個人事業税などがある。
●アパート経営は金融機関からの借り入れが可能だが、自己資金10~30%は必要。融資額が大きくなればリスクも大きくなるため、出口戦略を見すえた資金計画を立てる。
アパート経営を検討している方にとって、有益な情報となリますので、ぜひ最後までお読みください。また、アパート経営全般に関しては、以下の記事も参考にしてください。
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目次
アパート経営にかかる費用は土地のある・なしで変わる
アパート経営の方法は、以下のように分類できます。
1.【土地を所有している】アパートを新築して経営する
2.【土地を所有していない】土地を購入してアパートを新築する
3.【土地を所有していない】新築アパート商品を購入する
4.【土地を所有していない】中古物件を購入する
アパート経営にかかる費用は、土地を所有しているか否かによって大きく異なります。4つの形態それぞれについて、特徴や傾向を紹介します。
所有している土地にアパートを新築する場合の費用

すでに所有している土地にアパートを新築するのは「土地活用」とも呼ばれ、土地の取得費用が不要となるため、初期費用を大幅に抑えられるのが大きなメリットです。
特に、活用できていない土地や、相続した遊休地などを有効活用する場合、土地購入費の負担なしで収益化できるうえ、節税対策にもなる点が魅力です。
もちろん、アパート自体の建築費用や設計費用、諸経費は発生するため、一定規模の資金計画が必要です。一般的にアパートの建築費用は構造や仕様によって異なりますが、木造なら坪単価50〜100万円、鉄筋コンクリートなら120~200万円が目安となります。地盤調査や改良工事が必要な場合は、追加費用も考慮する必要があります。
さらに重要なのが、その土地がアパート経営に適しているかどうかの調査・分析です。賃貸需要がある地域なのか、建ぺい率・容積率はどうか、用途地域はどうかなどが収益性に大きく影響を与えます。すでに持っている土地にアパートを建てて経営する場合は、事前の調査がもっとも重要なポイントといえるでしょう。
土地を購入してアパートを新築する場合の費用
土地を購入してアパートを新築する場合、土地取得費用が大きなコスト要因となります。特に都市部では土地価格が高騰しており、投資額が大きくなるため、利回りを確保するためには慎重な立地選定が求められます。また、土地購入には登記費用や不動産取得税などの諸費用もかかるため、総額でのコスト試算が重要です。
一方で、アパート経営における収益性をもっとも左右する立地を自由に選択できる点は大きなメリットです。土地を購入してアパートを新築する手法は、将来的に大きな資産を残したいという投資目的に適しているといえます。
新築アパート商品を購入する場合の費用

不動産会社が扱う新築アパート商品は、土地と建物がセットになった状態で販売されています。これは「建売アパート」とも呼ばれ、不動産会社やデベロッパーが事業計画を立てた上で販売するため、購入者は比較的手間をかけずにアパート経営を始められます。不動産業界のプロが土地を選定し、商品開発をおこなっているため、一定の収益性が担保されている点もメリットです。
しかし、建築コストや土地の取得費用がパッケージ化されているため、価格が割高になる傾向があります。デベロッパーの利益が上乗せされているため、個別に土地を購入してアパートを建築するよりも総コストは高くなります。
また、建売アパートは画一的な設計が多く、商品の差別化が難しいという側面もあります。
新築アパート商品を購入する手法は、将来的に一定規模の資産を残しながら、安定したキャッシュフローを得たいという投資目的に適しています。
中古物件を購入する場合の費用
中古アパートを購入する場合、土地と物件を同時に入手でき、すぐに運営が可能です。
新築よりも物件価格が抑えられる点が大きなメリットであり、オーナーチェンジ物件であれば購入当初から家賃収入を得られます。特に築年数が経過した物件は価格が下がっているケースが多く、利回りが高くなる可能性があります。
ただし、中古物件には修繕費用がかかるリスクがあります。たとえば、築年数が20年以上経過している場合、外壁塗装や屋根の補修、設備の交換が必要になることが多く、購入後の維持管理費用がかさみます。そのため、購入前に物件の状態をしっかりと調査し、リフォーム費用を含めた資金計画を立てることが重要です。
さらに、既存の入居者がいる場合は、賃貸借契約を引き継ぐ必要があります。家賃滞納リスクや入居者の属性を把握し、トラブルの有無を事前に調査する必要があります。賃貸管理会社の引き継ぎも含め、スムーズな運営ができるかを慎重に判断する必要があります。
中古物件を購入してアパート経営をする手法は、築古物件の減価償却を利用できるため、所得税節税を目的として投資する場合は最適といえるでしょう。
アパート経営でかかる初期費用:建築費・購入費

【土地あり・アパート新築】【土地なし・アパート新築】【新築アパート商品購入】【中古物件】の4パターンそれぞれについて、アパート経営でかかる初期費用のうちの購入費と建築費について解説します。
【土地あり・アパート新築】の費用
すでに所有している土地にアパートを新築する場合の費用である、本体工事費用および付帯工事費用について紹介します。
本体工事費・建築費用
本体工事費・建築費用は、アパートの構造によって大きく変動します。木造・軽量鉄骨・鉄筋コンクリートのそれぞれの本体工事費・建築費用は以下のとおりです。
構造 | 坪単価相場 |
木造 | 50〜100万円 |
軽量鉄骨 | 60〜120万円 |
鉄筋コンクリート | 120~200万円 |
一般的に、木造や軽量鉄骨造のアパートはコストを抑えやすく、1戸あたりの建築費は比較的安価です。一方、鉄筋コンクリート造は耐久性や防音性に優れるものの、工事費が高くなりやすい傾向があります。
建築費には基礎工事、柱・梁・屋根の組み立て、外壁・内装の施工、電気・水道・ガスなどの設備工事、建具の取り付けなどが含まれます。グレードを上げると、使用する建材や設備の品質が向上し、賃貸市場での競争力が増しますが、その分コストも増加します。そのため、ターゲットとする入居者層に合わせたコストバランスを考慮することが重要です。
また、設計・監理費用も本体工事費の一部として発生します。これらを総合して、本体工事費用はアパート建築費用全体の80〜90%を占めます。
付帯工事費

付帯工事費とは、アパート本体の建築以外に必要となる工事費用を指します。
具体的には、外構工事、地盤改良工事、ライフライン引き込み工事、駐車場整備、フェンス・門扉設置などが含まれます。これらの付帯工事は、建物の完成後に快適な居住環境を整え、物件の価値を向上させるために欠かせません。付帯工事費用は、本体工事費用の20%程度が目安です。
地盤の強度が不足している場合は、杭打ち工事などの追加費用が発生する可能性があるため、事前の地盤調査が重要です。敷地内のライフラインの引き込み工事も必要で、特に都市部でない場合などは、すでに埋設されている水道管などからの距離が長くなり、工事費用が高くなるケースがあります。
防犯面を考慮した照明設置や防犯カメラの導入は、入居者の安心感を高める重要な要素ですが、これらも付帯工事に含まれます。
アパート経営を検討している地主の方は、以下の記事も参考にしてください。
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【土地なし・アパート新築】の費用
土地を所有していない方が、土地を購入してアパートを新築する場合は、アパートの建築の際に土地の仕入れ費用・本体工事費・付帯工事費がかかります。
土地の仕入れ費用
土地なしでアパートを新築する場合、まず土地の取得費用が発生します。
土地の価格は、立地・広さ・用途地域などの要素により大きく異なります。都市部や駅近などの好立地は賃貸需要がある分価格が高騰しやすく、初期コストと収益性のバランスを見極めることが重要です。
また、希望するアパートの規模や間取りに適した土地かどうかを確認するために、事前の用途地域調査や建ぺい率・容積率のチェックが必要です。建築制限がある土地では、想定していたアパートが建てられないこともあるため、事前に十分なリサーチとシミュレーションを行いましょう。
本体工事費
土地を購入した後にアパートを建築する際の本体工事費は、土地を所有していた方が建築する際と同じく基礎工事や設備工事などの費用がかかります。
付帯工事費
付帯工事費についても、【土地あり・アパート新築】の場合と同じです。
【新築アパート商品購入】の費用
新築アパート商品を購入する場合は、パッケージとなっているため建築にかかる費用は販売会社によってさまざまです。新築アパートは、ハウスメーカーや不動産会社が企画・設計・施工を行い、完成後に販売されるため、購入者は土地の選定や建築プロセスに関与することなく、すぐにアパート経営を開始できます。その一方で、デベロッパーの利益が含まれるため初期コストは高額になりやすくなります。
基本的に、アパート商品を購入する際の物件価格には、建物の建築費に加えて土地代も含まれます。都市部や駅近などの好立地の物件は高額になりやすいですが、入居率が高く安定した収益が期待できます。建物の仕様やグレードによっても価格が変動し、高級設備やデザイン性を重視した物件は、建築コストが上乗せされる傾向にあります。
購入費用の内訳としては、土地代・本体工事費・付帯工事費に加えて、これらの建設にかかる費用の20~30%ほどのデベロッパーの利益が上乗せされます。単身者向け20戸ほどの小規模のアパートでも、総額1億円以上は必要になるケースが多くあります。
新築アパートは初期修繕費がほぼ不要な点がメリットですが、購入時の費用が高額になりやすいため、長期的な収支計画を慎重に立てる必要があります。
【中古物件購入】の費用

中古アパートを購入する場合の費用は、物件の築年数や立地、構造によって異なり、数千万円から数億円まで幅広い価格帯があります。健美家の「収益物件 市場動向 四半期レポート 2024年10月~12月期」によると、一棟アパートの平均価格は7,802万円です。
木造は築20〜30年経過すると価格が大幅に下がることが多いですが、鉄筋コンクリート(RC)造は耐久性が高く法定耐用年数も長いため、築30年以上でも一定の価値を維持するケースがあります。都市部の中古アパートは価格が高めですが、地方では安価な物件も多く、利回りを重視する投資家に人気です。
また、中古物件ではリフォームや修繕が不可欠な場合があります。外壁塗装、屋根補修、給排水設備の交換など、大規模修繕が必要なケースでは数百万円以上の追加コストがかかることもあります。
中古アパートを購入する場合、新築に比べて物件価格が抑えられる傾向がありますが、物件の状態によっては修繕費がかさむため、総費用の試算が重要です。
アパート経営でかかる初期費用:建築・購入以外にかかる諸費用
ここでは、アパート経営を開始する際に建築費用以外に必要な諸費用について紹介します。
不動産仲介手数料

不動産仲介手数料は、不動産会社を通じてアパート用地や中古アパートを購入する際に発生する費用です。
仲介手数料は宅地建物取引業法により上限が定められており、売買金額が400万円を超える場合には「(物件価格 × 3% + 6万円)+ 消費税」が一般的な計算式です。たとえば、5,000万円の物件を購入する場合、手数料は約171.6万円(税込)となります。
この費用は、不動産会社の売主物件である場合は発生しませんが、多くの物件は不動産仲介会社を介して取引されるため、ほとんどのケースで必要になります。仲介会社は価格交渉や契約手続きのサポートを行うため、適切な会社を選ぶことも重要です。
登記費用
登記費用は、不動産の所有権を正式に登記するための費用です。登記の種類には「所有権移転登記(購入時)」「抵当権設定登記(ローンを利用する場合)」があり、それぞれ登録免許税と司法書士報酬がかかります。
登録免許税の税率は、所有権移転登記の場合は不動産評価額の2.0%、抵当権設定登記は借入額の0.4%が目安です。たとえば、土地と建物の評価額が5,000万円なら、所有権移転登記の登録免許税は最大100万円、ローン3,000万円なら抵当権設定登記は12万円となります。
また、登記手続きは司法書士に依頼するのが一般的で、その報酬として10万〜30万円程度が必要です。司法書士報酬は物件購入時に必ず発生するため、事前に見積もりを取っておくと安心です。
印紙税

印紙税は、不動産売買契約書や建築請負契約書などの契約書に貼る収入印紙の費用です。契約書の記載金額によって税額が決まり、たとえば1,000万円超〜5,000万円以下の場合は1万円、5,000万円超〜1億円以下の場合は3万円となります(2025年時点の軽減措置適用後)。
アパートを新築する場合、建築請負契約書にも印紙税がかかるため、建築費が5,000万円なら契約書ごとに1万円が必要です。土地購入・建築請負・ローン契約と複数の契約が発生するため、印紙税の合計額は数万円〜数十万円になることもあります。
契約書が電子契約の場合、印紙税は不要になるため、可能であれば電子契約を利用して節約するのがおすすめです。
ローン手数料
ローンを利用してアパートを購入・建築する場合、金融機関に支払う手数料が発生します。代表的なものに「融資手数料」「保証料」「事務手数料」などがあります。
融資手数料は、金融機関によって異なりますが、一般的に借入額の2%前後(例:5,000万円の借入なら100万円)です。一方、保証料は保証会社を利用する場合に発生し、一括前払い型では借入額の2%程度、金利上乗せ型では0.2%程度が相場となります。
また、事務手数料として3〜5万円程度が発生する場合もあり、金融機関によって異なるため、ローンを選ぶ際は手数料も比較するようにします。
不動産取得税
不動産取得税は、土地や建物を取得した際に都道府県に納める税金で、不動産評価額に一定の税率をかけて計算されます。税率は軽減措置適用で3%となり、不動産の固定資産税評価額×3%が不動産取得税額となります。なお、軽減措置には要件があります。
たとえば、評価額が3,000万円のアパートを購入した場合、不動産取得税は90万円となります。新築住宅の場合は、一定の要件を満たせば1,200万円の控除が適用されることがあり、税額を大幅に抑えられるケースもあります。
取得後、半年から1年以内に納税通知が届くため、予算に組み込んでおくことが重要です。
水道分担金
水道分担金とは、新しく水道を引き込む際に自治体へ支払う費用です。これは「給水負担金」や「水道加入金」とも呼ばれ、地域や管径によって金額が異なりますが、上水道と下水道をあわせて30〜50万円程度が相場です。また、下水道の提供エリア外で浄水槽を新設する必要がある場合は、100万円程度追加で費用がかかるケースもあります。
特に、新築アパートを建設する場合は水道管の引き込み工事が必要で、場合によっては敷地内工事費用も発生します。すでに水道が引き込まれている中古アパートなら、この費用は不要です。
火災保険料
アパート経営では、火災保険の加入が必須です。金融機関の融資を受ける際も、火災保険加入が条件となる場合がほとんどです。保険料は、建物の構造(木造・鉄骨・RC造)、補償範囲(火災・風水害・地震など)、保険期間によって異なります。
一般的に、木造アパートは火災リスクが高いため年間10万〜30万円程度と保険料も高くなる傾向があり、RC造は比較的安価です。地震保険をセットにすると保険料が1.5倍〜2倍になるため、補償内容と費用のバランスを考慮する必要があります。
また、複数の保険会社を比較し、適切な補償を選ぶことでコストを最適化できます。長期契約にすることで割引を受けられるケースもあるため、契約内容を慎重に検討することが重要です。
アパート経営でかかる維持費用
アパート経営においては、さまざまな維持費用が必要となり、物件の規模によって異なります。維持費用は毎年発生するため、適切に節約することで安定したキャッシュフローを得られます。
ここでは、アパート経営でかかる維持費用を紹介します。
管理委託手数料
管理委託手数料は、アパート経営において賃貸管理を専門の管理会社に委託する場合に発生する費用です。管理業務には、入居者募集・契約手続き・家賃回収・クレーム対応・退去時の精算などが含まれます。遠方に住んでいるオーナーや本業が忙しいオーナーにとっては、管理業務の負担を軽減する重要なサービスとなります。
管理委託手数料の相場は、家賃収入の5〜10%程度が一般的です。たとえば、月の家賃収入が100万円の場合、月間で5〜10万円程度、年間で60〜120万円の管理費用がかかります。ただし、サブリース(家賃保証契約)の場合は10〜20%と高くなるため、管理形態を慎重に選ぶ必要があります。
また、管理会社によってサービスの範囲が異なるため、契約前に具体的な業務内容や手数料を比較検討し、自身の運営スタイルに合った管理会社を選ぶことが重要です。
アパート経営の管理については、以下の記事も参考にしてください。
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共用部の光熱水費
アパートの共用部にかかる光熱水費は、オーナー様が負担する維持費の一つです。共用部には、エントランスの照明、廊下や階段の電灯、防犯カメラ、エレベーターの電力、給水ポンプなどが含まれます。場合によっては共用トイレや洗濯機などの水道代も発生します。
この費用は、アパートの規模や設備によって変動します。基本的にはアパート1室あたり年間1万円程度が相場ですが、大型アパートやエレベーター付き物件ではさらにかさみます。
光熱費を抑えるためには、LED照明の導入や人感センサー付きライトの設置、電力会社のプラン見直しなどが有効です。入居者と共益費として負担する形を取ることも可能ですが、その場合は契約時に明確にしておく必要があります。
また、共用部の光熱水費は経費計上が可能です。
アパートローンの元本・金利
アパート経営では、多くのオーナー様が金融機関のアパートローンを利用して物件を購入・建築します。ローン返済はアパート経営における最大の固定費の一つであり、元本返済と金利支払いを合わせた毎月の支出になります。
ローンの条件は、借入額・金利・返済期間によって異なります。たとえば、1億円を金利2%・30年返済で借りた場合、月々の返済額は約37万円になります。変動金利の場合、将来的な金利上昇リスクも考慮する必要があります。
ローン返済計画はキャッシュフローに直結するため、無理のない借入額・返済期間を設定することが重要です。繰り上げ返済を活用することで総支払額を抑えることも可能ですが、資金繰りとのバランスを見極める必要があります。
また、ローンの利息部分は経費計上が可能ですが、元本は経費にあたらないため注意しましょう。
修繕費

アパートの修繕費は、経年劣化による建物の維持管理に必要な費用です。具体的には、給排水設備などの修理や、共用部の補修などが含まれます。入居者様の退去にともなう原状回復工事も修繕費の一部です。
修繕費は経費として処理が可能ですが、物件価値を向上させるためのリノベーション費用は「資本的支出」に該当し、毎年の経費計上とは別の会計処理が必要となります。
アパート経営において必要不可欠である修繕費については以下の記事も参考にしてください。
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大規模修繕積立金
アパートは築年数が経過すると、大規模な修繕が必要になります。大規模修繕には、外壁塗装、防水工事、屋上防水、エレベーターの更新などが含まれ、費用は数百万円〜数千万円単位になることもあります。そのため、事前に大規模修繕積立金を確保しておくことが重要です。
積立金は、毎年一定額を積み立てる形で準備するのが理想です。たとえば、年間100万円を積み立てれば、10年間で1,000万円の修繕費を確保できます。大規模修繕は資産価値を維持し、入居者の満足度を高めるためにも必要不可欠な費用なので、しっかりと予算に組み込んでおきましょう。
また、定期的なメンテナンスを行うことで、将来的な大規模修繕の負担を軽減できます。例えば、水回り設備や外壁の劣化を放置すると、修理費が高額になりやすいため、早めの対応が必要です。
アパートの大規模修繕については、以下の記事も参考にしてください。
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税理士の報酬

アパート経営をおこなう場合、確定申告や税務処理を税理士に依頼することが一般的です。
税理士の報酬は、確定申告の代行や帳簿作成、節税対策のアドバイスなどの業務内容によって変動します。節税メリットを考えると青色申告が望ましく、複式簿記の管理が必要です。税理士に依頼することで正確な申告ができるとともに、税務リスクを軽減できます。
税理士報酬の相場は、年間で10万〜30万円程度が一般的ですが、法人としてアパート経営を行う場合は、法人税の申告や決算処理も必要になるため、個人よりも税理士報酬が高くなる傾向があります。
費用を抑えるためには、税理士との契約内容を見直し、自分でできる業務(記帳など)は自分で行うといった工夫も有効です。また、不動産投資に強い税理士を選ぶことで、節税対策などのアドバイスを受けられ、長期的な利益につながることもあります。
アパート経営にかかる税金については、以下の記事も参考にしてください。
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通信費
アパート経営における通信費は、オーナー様が賃貸管理会社や入居者様と連絡を取る際に発生する費用です。主に、携帯電話の通信費、インターネット料金、FAXや郵送費、クラウド会計ソフトなどのオンラインサービスの利用料が含まれます。オンラインでの管理を進める場合、管理システムやクラウドストレージの契約費用が必要になることもあります。
通信費の負担を抑えるためには、ビジネス向けの通信プランを活用したり、不要な固定電話を廃止して携帯電話のみで運用したりする方法が考えられます。また、インターネット回線については、物件に無料Wi-Fiを導入する場合、月々の維持費として数千円から数万円のコストが発生するため、家賃設定や入居率とのバランスを考慮する必要があります。
固定資産税・都市計画税
固定資産税と都市計画税は、アパートの土地・建物を所有している限り毎年かかる税金です。
固定資産税は、不動産の評価額に対して1.4%(標準税率)が課され、都市計画税は、0.3%を上乗せして課税されます。両者を合わせた税額は、固定資産税評価額の約1.7%が目安になります。
たとえば、固定資産税評価額が5,000万円のアパートの場合、固定資産税は年間70万円、都市計画税は15万円、合計85万円の税負担が発生します。新築アパートの場合、固定資産税の軽減措置が適用されることもあり、一定期間は税額が抑えられるケースもあります。
固定資産税は、毎年4月〜6月頃に自治体から納税通知書が送られてきて、通常は年4回の分割払いが可能です。税負担を軽減するためには、税額のシミュレーションを事前に行い、キャッシュフロー計画を立てることが重要です。
所得税・住民税
アパート経営で得た不動産所得には、所得税と住民税が課されます。
所得税は累進課税方式で、所得額に応じて5%〜45%の税率が適用されます。住民税は一律10%(都道府県税4%+市区町村税6%)です。不動産所得は年間家賃収入から経費として認められた支出を差し引いて算出されます。
たとえば、年間の不動産所得が500万円の場合、所得税率は20%が適用され、所得税額は約50万円になります。これに住民税10%(約50万円)を加えると、合計で約100万円の税負担になります。
税負担を最適化するためには、適切な経費計上や節税対策が重要になります。
個人事業税
個人事業税は、不動産賃貸業を営む個人事業主に対して課される税金です。10室以上のアパートの貸付をおこなった場合、不動産所得に対して5%の個人事業税が発生します。
また、事業主控除として290万円の控除が認められているため、500万円の不動産所得があった場合は(500万円ー290万円)×5% =10.5万円の個人事業税となります。
個人事業税は、毎年8月と11月の2回に分けて納付する必要があります。賃貸経営を法人化することで、この税負担を避けることも可能ですが、法人税や社会保険料など別のコストが発生するため、長期的な経営方針を踏まえて検討することが重要です。
アパート経営の各種改善事例については、以下の事例も参考にしてください。
■アパート経営の改善事例
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アパート経営に必要な自己資金はどれくらいか
アパート経営には、様々な項目で初期費用と維持費用がかかるため、一定の自己資金を用意しておく必要があります。
ここでは、アパート経営に必要な自己資金について解説します。
アパート経営はレバレッジが可能

アパート経営では、銀行などの金融機関から融資を受けて物件を購入することが一般的であり、これによりレバレッジを活用できます。自己資金だけで物件を購入するのではなく、融資を利用することで、少ない自己資金で大きな資産を運用できる点が大きなメリットです。
たとえば、自己資金1,000万円を用意し、9,000万円の融資を受けることで1億円のアパートを購入できます。この場合、資産規模を自己資金のみで購入する場合と比べて大幅に拡大でき、家賃収入も大きくなります。
レバレッジを効かせることで得られる収益も大きくなりますが、同時にリスクもともないます。空室が発生した場合や金利が上昇した場合、ローン返済が困難になる可能性もあるため、無理のない資金計画を立てるようにします。
自己資金の目安は10~30%
アパート経営において、自己資金の目安は物件価格の10~30%程度が一般的です。たとえば、1億円のアパートを購入する場合、1,000万円~3,000万円程度の自己資金を準備するのが目安となります。
自己資金が多いほど、借入金額が少なくなり、毎月のローン返済負担が軽減されるため、経営の安定性が増します。また、自己資金比率が高いほど金融機関からの信用も得やすく、融資審査に通りやすくなる傾向があります。自己資金が少ない場合は、フルローンやオーバーローンの利用もありえますが、借入額が大きくなるため、リスクも高まります。
登記費用、不動産取得税、火災保険料などの諸費用も自己資金で賄うことが一般的なため、物件価格の10~30%に加えて、諸費用分の資金も確保しておくことが重要です。
融資額が大きくなればリスクも大きくなる
アパート経営では、融資を活用することで少ない自己資金で大きな資産を運用できますが、借入額が増えるほどリスクも高まります。
アパート経営においては、空室リスク、金利上昇リスク、物件価値の下落リスク、修繕費の増加など、収益が低下する要因が複数存在するため、借入額が大きいとローン返済が困難になる可能性があります。
こうしたリスクに備えるためには、適切な自己資金比率を確保し、無理のない借入額に抑えることが重要です。長期的な視点で経営を考え、キャッシュフローの余裕を持たせることが、安定したアパート経営につながります。
投資の原則として、リターンとリスクは比例すると覚えておきましょう。
出口戦略を見すえた資金計画を
アパート経営を成功させるためには、購入時の資金計画だけでなく、売却時の出口戦略を見据えた長期的な資金計画を立てることが重要です。不動産市場は景気や金利の動向によって変動するため、売却タイミングや売却価格を考慮した資金管理が必要になります。
たとえば、築浅の状態で売却する場合と、築20~30年経過してから売却する場合では、物件の価値が大きく異なります。築年数が古くなると、修繕費がかさむだけでなく、売却価格も下がる傾向があるため、適切なタイミングで売却することが求められます。
また、銀行から借り入れる際の融資期間を長くすると月々の返済額は低くなりキャッシュフローは向上しますが、売却時のローン残債が多くなるため、購入時から出口戦略を十分に吟味しておくことが重要です。
出口戦略を含めて金利、融資期間、自己資金額などを総合的に考えておくことがアパート経営の成功には不可欠といえるでしょう。
まとめ アパート経営をサポートしてくれる賃貸管理会社

本記事では、アパート経営にかかる初期費用や維持費用について詳しく解説しました。健全な賃貸経営のためには、収益を最大化しつつ適正な支出を維持する必要があります。
アパートを購入する際の費用や購入後の維持費用などの支出項目は多岐にわたるため、経費や税務管理のためにプロフェッショナルの適切なサポートを受けましょう。
【リロの不動産】では、アパート経営の資金計画全般について総合的にサポートしています。アパート経営を検討しているオーナー様は、ぜひ一度ご相談ください。
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この記事を書いた人
秋山領祐(編集長)
秋山領祐(編集長)
【生年月日】昭和55年10月28日。
【出身地】長野県上田市。
【趣味】子供を見守ること。料理。キャンプ。神社仏閣。
【担当・経験】
デジタルマーケティングとリブランディングを担当。
分譲地開発のPMや家業の土地活用などの経験を持つ。
リノベした自宅の縁の下に子ども達の夢が描かれている。